M15対空自走砲

M15対空自走砲

M15対空自走砲は、アメリカ軍が開発した対空攻撃用の自走砲です。この兵器は、M3ハーフトラックの車体に対空火器が搭載された形状を持ち、戦場での運用において大きな役割を果たしました。

概要

M15の砲塔は六角形の設計で、オープントップの構造になっており、頑丈な装甲板に囲まれています。搭載する武器には、M1 37mm機関砲1門とM2 12.7mm重機関銃2門が含まれ、部隊は3名の兵士から構成されています。第二次世界大戦中において、M15はヨーロッパ戦線や沖縄戦など、さまざまな戦域で活躍しました。しかし、1944年6月のノルマンディー上陸作戦以降は連合国が制空権を確保したため、主に対地支援の役割を担うようになりました。

戦後もM15は陸軍に供給され、韓国戦争でも使用されました。また、西側諸国にも供給され、日本の陸上自衛隊でも長い間装備されていました。

開発背景

M15の開発は1941年に始まります。当初はT28対空自走砲として計画され、T37自走砲が採用されましたが、能力不足が指摘され、再度の開発が行われました。最終的には、M3ハーフトラックに変更され、旋回式砲座を備え、T28E1として1942年に実戦投入されました。この車両は北アフリカでのアメリカ軍によって試験され、高い戦果を挙げました。

評価が高まったT28E1は正式にM15 CGMCとして採用され、600両が追加生産されました。後に防護装置や機銃の改良が施された新たな型がM15A1として1943年8月に制式化され、さらに1,652両が生産されました。その後の運用過程で、運転席が射撃角に入る問題が指摘され、改良が加えられました。

運用実績と海外展開

M15は他国でも使用され、特にアメリカ以外では、レンドリース法に基づきソビエト連邦に100両が貸与されました。戦後は各国に配備され、現地ではボフォース40mm機関砲に換装された車両も多数見られました。日本でも、陸上自衛隊が保有し、1970年代まで運用されて存在しました。

日本では、M16対空自走砲と合わせて98両が配備され、各師団に配置されましたが、主砲となる37mm弾薬の供給が難しかったため、M15は長期間現役で使用され続けました。

1990年に陸上自衛隊から全車両が退役し、放置されていた車両の一部は2000年代に入って撤去されました。M15の後継としては牽引式の高射機関砲が導入され、国産の自走高射機関砲も採用されました。

各型の一覧

M15シリーズにはいくつかの型が存在し、初期のT28E1から、改良を経て生産されたM15A1、また試作型であるT54やT68も計画されました。特にM15A1は外観や防護面での改良が行われ、多くの部隊に配備されました。M34は、主砲を取り去りボフォース40mm機関砲を搭載した改造型で、いくつかの部隊で運用されました。

このように、M15対空自走砲はその発展の歴史や多国での運用実績から、軍事史においても重要な役割を果たした兵器です。

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