M1909 ベネット＝メルシェ

M1909 ベネット＝メルシェ

M1909 ベネット＝メルシェ（M1909 Benét–Mercié）は、20世紀初頭にフランスのオチキス社によって設計された軽機関銃です。別名としてオチキス Mark I やオチキス可搬式、オチキス M1909機関銃と呼ばれ、戦争における重要な兵器として位置づけられました。

設計の背景

この機関銃は、オチキス社の重機関銃モデルであるM1900およびM1904のデザインを基にしています。ガス圧作動方式を採用し、空冷式であるため、軽量ながら高い射撃性能を誇りました。設計に携わったのは、アメリカのローレンス・ベネットとフランスのアンリ・メルシェです。M1909は、最大射程が3,800メートル、重量が12キログラムで、初期モデルは30連射の保弾板による給弾が行われましたが、その後は弾帯による給弾にも対応しました。給弾口は銃の右側面に配置され、空薬莢は左側に排出されました。使用する際には、コッキングハンドルを動かしてボルトを操作する必要がありました。アメリカ向けモデルには二脚が装着され、一部モデルでは小型三脚が装備されていました。

製造と運用

M1909の製造はフランスのサン＝ドニにあるオチキス社の工場で始まりましたが、第一次世界大戦の影響で、工場はリヨンに疎開され、その後イギリスのコヴェントリーに新たな工場が設置されることとなります。この新工場で、終戦までに40,000丁のM1909が製造されました。アメリカ向けモデルはスプリングフィールド造兵廠とコルト社が製造を担当し、アメリカ陸軍向けとして670丁が製造されました。

アメリカ陸軍はM1909機関銃を1916年のコロンバスの戦いに投入し、その後のパンチョ・ビリャ遠征でも使用しました。この機関銃は射撃速度や精度で高く評価されましたが、実際にはいくつかの問題が浮上しました。撃針や部品の頻繁な破損が報告され、訓練不足がその一因として指摘されました。

採用国とその後

フランス軍はオチキスM1909を1909年に採用しましたが、歩兵に支給されることはありませんでした。その後、この軽機関銃は第一次世界大戦を通じてフランスやイギリスなどで使用され、特にイギリスでは戦車の機関銃としても活用されました。また、オーストラリアやニュージーランドなど他国でも採用され、シナイやパレスチナでの戦闘での運用実績もありました。

アメリカでは1909年に.30-06スプリングフィールド弾仕様が採用され、機動性と軽量性が求められる中で高く評価されました。ただし、軍の需要に対して供給は追いつかず、戦争の終結に伴い大部分が処分されました。アメリカ海兵隊ではルイス銃への替換えが進められた結果、M1909は徐々に使用されなくなりました。

まとめ

M1909 ベネット＝メルシェ機関銃は、設計と製造の面で多くの技術革新をもたらした軽機関銃として、さまざまな国で使用されました。軽量で機動性に優れた特性を持ちながら、運用実績も多く、今なおその歴史的価値は高いものとなっています。

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