M25 (天体)

いて座の散開星団 M25

いて座の領域に位置する散開星団M25は、天体カタログではIC 4725としても知られています。この星団は比較的明るく、空の状態が良ければ双眼鏡でもその存在を確認できるほどですが、有名なシャルル・メシエのカタログには含まれていません。これは、19世紀にジョン・ハーシェルが自身のジェネラルカタログに記載しなかったためと考えられていますが、その詳しい理由は今日でも明らかになっていません。

結局、M25が公式なカタログに記載されるのは、それから時を経て1908年のことでした。ソロン・アーヴィング・ベイリーによる観測と精密な位置測定の結果に基づき、天文学者ジョン・ドレイヤーが編纂したインデックスカタログ（IC）の第2版に収められることとなりました。

この星団の構造は、シャプレーの分類では「d」に位置づけられており、構成する星々が比較的ゆったりと散らばっているのが特徴です。双眼鏡で眺めた場合、数個の明るい星がまばらに点在しているように見えます。しかし、より口径の大きな望遠鏡を用いることで、多数の星を一つ一つ見分けることが可能になります。

例えば、口径5cm程度の小型望遠鏡では、特に明るい10個ほどの星が視野の中で際立って見えてきます。口径が10cmクラスになると、さらに多くの星が捉えられ、およそ50個の構成星を確認できるようになります。さらに口径15cm以上の望遠鏡を用いると、星の色合いの違いがより明確になります。多数派である青白い星の中に、鮮やかなオレンジ色の星が混ざっている様子は、この星団を観測する上での大きな魅力の一つと言えるでしょう。

M25の観測においては、高倍率よりも低倍率の方が星団全体の広がりや構成星の配置を捉えやすく、より楽しめることが多いとされています。これは、星団が比較的まばらであることと、視野内に多くの星を捉えることで全体の印象がつかみやすいためです。

M25の発見は、1745年から1746年にかけてフランスの天文学者ジャン＝フィリップ・ロワ・ド・シェゾーによって行われました。その後、シャルル・メシエもこの天体を観測しています。彼の記録には、「3.5フィート（約1メートル）の望遠鏡では観測が難しく、星雲状の物質は見つからなかった」という趣旨の記述が残されています。メシエが彗星と紛らわしい天体のカタログを作成していたことを考えると、M25が彼の目には星雲状に見えず、点として分離できたため、カタログに加える対象から外されたのかもしれません。

このように、M25は目立つ存在でありながらメシエカタログには載らず、後に別のカタログに収められたというユニークな経緯を持つ散開星団です。そのまばらな構造、口径によって変化する見え方、そして白い星とオレンジ色の星が織りなす美しいコントラストは、アマチュア天文家にとって観測しがいのある魅力的な天体と言えるでしょう。

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