M3 105mm榴弾砲

M3 105mm榴弾砲：第二次世界大戦におけるアメリカの軽量榴弾砲

M3 105mm榴弾砲は、第二次世界大戦中にアメリカ合衆国が開発した軽量の榴弾砲です。その設計思想と運用実績は、戦場のニーズに応えるための工夫に満ちています。

開発の背景

M3榴弾砲の開発は1941年に始まり、1943年に完成しました。この砲は、既存のM2A1 105mm榴弾砲の砲身を短縮し、M1 75mm榴弾砲の駐退復座機とM3開脚式砲架を組み合わせることで、軽量化と火力の両立を目指しました。M2A1榴弾砲と同一の砲弾と薬莢が使用可能であり、M1 75mm榴弾砲よりも優れた火力を発揮します。

設計の特徴

M3榴弾砲は、その軽量性から、空挺部隊や歩兵部隊での運用を想定して設計されました。分解して輸送することも可能であり、移動能力が重視される戦場での運用に適していました。また、M2A1榴弾砲との弾薬の互換性は、補給の面でも大きなメリットとなりました。

戦場での活躍

M3榴弾砲は、主にヨーロッパの西部戦線において、空挺部隊の野戦砲兵連隊や歩兵連隊の砲中隊に配備されました。空挺部隊では、M1 75mm榴弾砲を装備する3個大隊に増強された1個大隊に配備され、歩兵連隊では、砲中隊（3個小隊に2門ずつ、計6門）に配備されて歩兵砲的な運用も行われました。太平洋戦線における運用は確認されていません。

朝鮮戦争での運用

大戦終結後、M3榴弾砲は韓国陸軍に供与され、師団砲兵として朝鮮戦争を戦いました。しかし、元来軽榴弾砲である本砲は、より本格的な火砲を多数保有する北朝鮮軍の砲兵隊に火力で劣り、苦戦を強いられました。

諸元

種別: 榴弾砲
口径: 105mm
砲身長: 1,880mm（17.9口径）
重量: 1,130kg
全長: 3.94m（牽引時）
全幅: 1.7m
砲尾: 水平鎖栓式閉鎖機
反動: 液気圧式駐退復座装置
砲架: 開脚式
俯仰角: -9°~+30°
旋回角: 左右45°
初速: 1,020 ft/s (311 m/s)
最大射程: 7,600m（標準榴弾）
発射速度: 4発/分（最大）、2発/分（連続射撃時）
弾薬: 半完全弾薬筒（105×372mmR）

まとめ

M3 105mm榴弾砲は、第二次世界大戦において、アメリカ軍の火力支援に貢献した軽量榴弾砲です。その設計思想と運用実績は、現代の火砲開発にも影響を与えています。

関連項目

榴弾砲
M101 105mm榴弾砲
M116 75mm榴弾砲
* 歩兵砲

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