M37 (天体)

M37（NGC 2099）

M37は、ぎょしゃ座の方向およそ4500光年の距離にある、見事な散開星団です。メシエカタログにおいて37番目の天体として登録されています。

概要

ぎょしゃ座には、M36、M38と並んで有名な三つの散開星団が存在しますが、M37はその中で最も大きく、壮観な姿を見せます。500個を超える多数の恒星が集まっており、その密集度はたて座にある散開星団M11に匹敵すると言われています。しかし、M11と比較するとその視直径は約2倍も広がりを持っており、よりゆったりとした印象を与えます。

M37の魅力の一つは、その観測に適した機材の幅広さです。比較的明るい星々の中に、数多くの微かな星がちりばめられており、これが星団全体に豊かな表情を与えています。

双眼鏡: 双眼鏡では、M37は個々の星に分解されず、ぼんやりとした星雲状の光芒として捉えられます。同じぎょしゃ座にあるM36やM38といった他の散開星団と同一視野に収まることもあり、位置関係を確認しながら観測するのも楽しいでしょう。
小口径望遠鏡（口径10cmクラス）: 口径10cm程度の望遠鏡を使用すると、星団を構成する多くの恒星を一つ一つ見分けることができるようになります。明るい星の間に見え隠れする微星も捉えることができ、星の密な集まりとしての姿を実感できます。
大口径望遠鏡: さらに大きな口径の望遠鏡を用いると、微星が圧倒的に多く見えてきます。まるで宝石箱をひっくり返したような、数え切れないほどの星で満たされた賑やかな眺めとなり、見応えは格段に増します。このように、M37はどのような望遠鏡を使っても異なる楽しみ方ができる、非常に魅力的な天体です。

観測史

M37は、比較的明るく見やすい散開星団ですが、その発見史には興味深いいきさつがあります。

記録に残る最初の観測は、1654年以前にイタリアの天文学者ジョヴァンニ・バッティスタ・オディエルナによって行われたとされています。しかし、彼の発見は当時の天文学界に広く知られることはありませんでした。

その後、1749年にはフランスの天文学者ギヨーム・ル・ジャンティが、ぎょしゃ座の他の二つの主要な散開星団であるM36とM38を発見しています。しかし、皮肉なことに、彼はこれらよりも規模が大きく、より目立つM37を見落としてしまいました。

M37が広く認知されるようになったのは、1764年9月2日にフランスの天文学者シャルル・メシエが独立してこの星団を再発見し、自身の星雲・星団カタログに記載してからです。オディエルナによる先行する発見が再評価されるまでの間、M37の発見者は長らくメシエであるとされていました。

メシエは自身の観測記録にM37について以下のように記しています。

「M36にやや先行する。小さな星が並んで集まり接近し、星雲状のものをつつんでいる。3.5フィートの望遠鏡では星はみられない。」

彼の記述にあるように、当時の望遠鏡の性能では個々の星を分離することが難しく、星団がぼやけた星雲のように見えていたことが分かります。現代の望遠鏡で見せる、無数の星が輝く姿とは対照的です。

関連項目

メシエカタログ

出典

* （本記事の情報は天体カタログデータおよび一般的な天文学文献に基づいています）

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