M84スタングレネード

M84（XM84）：非致死性スタングレネードの概要

M84、正式にはXM84は、アメリカ合衆国で運用されているスタングレネードの一種です。別名フラッシュバンや閃光発音筒としても知られるこの兵器は、主に敵を無力化するために設計されています。M84はその特異な機能により、非致死性の武器として分類され、戦闘状況において致命的な傷害を与えることなく効果的に敵の行動を制限できるため、特に市街戦や人質救出の場面で頻繁に活用されます。

構造と機能

M84は、スチール製の本体を持ち、その内部にはアルミニウムケースが含まれています。このケースの中には、主にマグネシウムを成分とした炸薬が収められています。炸薬が点火されると、爆発音は180から190デシベルに達し、1.5メートルの範囲内で100万カンデラ以上の閃光が放たれます。この閃光と音は、攻撃対象の視覚や聴覚に直接影響を与え、方向感覚を喪失させる原因となります。

M84の爆薬は、超音速の爆轟を発生させるのではなく、亜音速の爆燃として燃え広がります。これは、発生する爆発による被害をできるだけ軽減するための工夫です。内部ケースが燃え尽きることで、炎や破片による二次的な被害を抑制し、敵に対して直接的な破壊を伴わない方法での攻撃が可能となります。

用途と運用

M84は特に、敵の注意を逸らすための兵器として用いられます。閉じられた空間に投げ込むことで、敵の一時的な動揺を引き起こし、その隙に味方の進行を許可する役割を果たします。このような使用は、アメリカ陸軍において特に重視されています。敵が密集している場所や、非戦闘員が存在する地域での作戦において、非致死性のオプションを選択することが重要と見なされています。

引火性の注意点

M84の持つ特性として、通常は紙や布などの材質に引火することはありません。しかし、周囲に可燃性の液体や、ガソリン、エーテルのような高濃度の蒸気が存在する場合、これらは一瞬で点火される危険性があります。したがって、使用時には周囲の状況を十分に考慮する必要があります。

M84は、敵の制圧を目的とした戦術の一部として非常に効果的であり、特に市街地での作戦においてその能力を発揮します。今後も、非致死性兵器の分野において重要な役割を果たし続けることでしょう。

もう一度検索