MELODY (チューリップのアルバム)

アルバム『MELODY』の概要

『MELODY』（メロディ）は、1976年9月5日に発売されたチューリップの通算7枚目のスタジオアルバムです。このアルバムは、タイトルが示す通り、メロディに重きを置いて制作されており、生音の響きを大切にしたミキシングが施されています。そのため、前作『魔法の黄色い靴』への原点回帰とも言える要素が見受けられつつも、音楽的にはより厚みのあるアレンジが展開されています。

特筆すべきは、シングル『風のメロディ』がこのアルバムのために制作されたものの、最終的にアルバムには収録されなかった点です。このビジネス上の決定は、同じタイトルを持つシングルの発売による影響を避けるためであり、シングルとアルバムの関係に関する考慮が色濃く反映されています。また、進出メンバーのボーカルパートの配分においても、姫野達也が単独でボーカルを取った曲が存在しない一方で、吉田彰が二曲でボーカルを担当している状況が特徴的です。

オリジナルアルバムとして、この作品が特に興味深いのは、全ての楽曲の編曲をバンドメンバー自らが手掛けた初の試みであることです。また、ジャケットデザインも注目されており、メンバー全員が同じサイズで写るモノクロ写真が使用され、そのレイアウトが久しぶりに採用されました。発売当初には、ジャケットの帯部分がメンバーの顔に重なってしまったため、特別に同じ撮影を用いて対応されるなど、楽しさ際立つエピソードもあります。さらに、このアルバム以降の作品には、クレジット部分に「I dedicate this record to〜」という文が挿入されるようになり、バンドのスタイルにも変化が見られます。

2000年には、未発表曲『涙はいらない』が『TULIP Anthology 1〜Rare Tracks〜』の中に収められ、このアルバムに特有の新しい魅力を付加しました。

収録曲について

アルバムには、以下の楽曲が含まれています。

SIDE A

• - ふたつの鍵

作詞・作曲：財津和夫
ホンキートンク風のピアノが印象的な曲で、恋人との思い出を描いています。

• - 淋しくて淋しくて

財津の独特なボーカルとメンバーのコーラスが絶妙に絡み合う一曲です。

• - かけおちのすすめ

安部俊幸が作詞・作曲を担当し、彼自身がボーカルを務めています。

• - もう一杯のウヰスキー

吉田彰によるボカールが特徴的な楽曲です。

• - あの娘は魔法使い

ライブでも人気の高いナンバーで、財津がボーカルを担当します。

SIDE B

• - 青春の色

財津が描く「青」の象徴が表れる詞が印象的な作品です。

• - 夏の祭り

叙情的な印象が強い楽曲で、吉田のボーカルが際立っています。

• - ともだちのあなただから

同日発売のシングルのカップリングに位置付けられた曲です。

• - だから話して欲しい

タイトルの連関はありますが、歌には直接的な関連がありません。

• - ロック地獄

当時の世相が描かれたハードロックで、財津の語りもユニークです。

• - 私から年老いたあなた方へ

ピアノとストリングスが融合した楽曲で、ビートルズの影響を感じさせます。

このアルバムは、チューリップのアーティスティックな進化を体現し、リスナーに長らく愛されている作品です。

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