MMPV

MMPV（中型地雷防護車両）とは

MMPV（Medium Mine Protected Vehicle、中型地雷防護車両）は、アメリカ陸軍が主導する、対地雷性能に特化した装輪装甲車調達プログラムの名称です。これは、アメリカ海兵隊が進めているMRAP（Mine Resistant Ambush Protected、耐地雷・伏撃防護装甲車）計画と類似した目的を持っています。

概要

MMPV計画は、地雷や爆発物の脅威から乗員を保護し、工兵部隊や爆発物処理班が危険な地域で安全に活動できるよう、高度な防護性能を備えた装輪装甲車を調達することを目的としています。アメリカ陸軍の広報官は、MMPV計画とMRAP計画の違いについて、調達戦略や性能の取捨選択の差異によるものであり、要求される装備品の性能そのものはほぼ同等であると説明しています。

イラク戦争後の駐留期間中、地雷やIEDによる被害が多発したことが、この種の装甲車の取得を急ぐ背景となりました。MRAP計画が先行していたため、アメリカ陸軍は海兵隊のMRAP計画に基づいて車両を選定・調達し、部隊配備・運用を進めています。しかし、MMPV計画も中断されたわけではなく、2007年にはRG-33がMMPVの車種として選定され、導入契約が締結されました。

要求仕様

戦車・車両研究開発技術センター（TARDEC）が提示するMMPVの要求仕様は、以下の通りです。

高度な相互データリンク、通信システム
鉄道、道路、航空機（C-5、C-17、C-130など）による分解なしでの輸送能力
乗員の保護と生存性：
対戦車地雷
爆発物の破片、衝撃
対戦車擲弾（RPG）
即席爆発装置（IED）
総重量4トンで舗装道路を時速100kmで走行可能
乗員1名による操縦と6名の武装兵士の搭乗、または工兵隊仕様として乗員1名と3名の武装兵士、2台のEODロボット（パックボットなど）の搭載
地雷攻撃後の8時間以内の戦場での修理能力
車両前部に約7トンのウィンチを装備
修理・メンテナンス用の詳細なマニュアルとキットの供給
360度旋回可能な武器搭載マウントと取り外し式の銃塔（OGPKなど）の装備
車両外側を照らす照明装置の追加装備
約2,700kg以上、11立方メートル以上の積載スペースと搭載物の固定機能
車外への電源供給：AC110V電源×4、DC12V電源×4
ランフラットタイヤ、スペアタイヤ1個以上、タイヤ交換用リフトアップ装置
追加電気機器搭載スペース
NBC防護性能へのアップグレード可能性
空調機能
キーおよびプッシュボタンによるエンジン始動

車種選定と導入

2007年12月、BAEシステムズのRG-33がMMPV計画に適合する車種として選定され、約22億USドルの予算で2,500両の導入契約が結ばれました。2015年末頃までに、アメリカ陸軍の工兵部隊および爆発物処理部隊への配備が予定されています。2008年4月には1億3,200万USドルで179両が発注され、2008年5月～8月に最初のテスト車両9両が納入されました。

MMPVは、兵士の命を守り、安全な作戦遂行を支援するための重要な装備として、今後の活躍が期待されています。

関連項目

装輪装甲車一覧
* MRAP

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