OGPK

OGPK（Objective Gunner Protection Kit）とは

OGPK（Objective Gunner Protection Kit, オブジェクティブ・ガンナー・プロテクション・キット）は、2000年代後半にアメリカで開発された装甲銃塔キットです。ハンヴィーやMRAPといった軍用車両に搭載された機関銃の射手を、敵の攻撃から防護することを目的としています。

開発の背景

2003年のイラク戦争において、アメリカ軍は当初、大規模な侵攻作戦を成功させました。しかし、その後のイラク国内は不安定化し、旧フセイン政権支持派やイスラム系武装勢力による攻撃が頻発するようになりました。

当時のハンヴィーや軍用トラックは装甲防御力が十分ではなく、銃撃によって乗員が死傷する事態が多発しました。そのため、兵士たちは自ら鉄板を切り出して即席の装甲板を取り付けるなど、応急的な対策を講じていました。2005年の報告書では、射手に対する360度全周の防護と、視認性の確保が重要であると指摘されました。

開発と実戦投入

この報告を受けて、アメリカ陸軍兵器研究開発技術センター（ARDEC）がOGPKの開発を主導することになりました。ARDECは過去の兵器開発経験を生かし、迅速に開発と試作を進めました。OGPKには、周囲の状況を把握し素早く射撃を行う機能と、敵の攻撃に対する十分な防御力という、相反する性能が求められました。

開発チームは、イラクの戦地から帰還した兵士の意見を聞き、4種類の試作品をイラク国内に持ち込んで実戦でのテストを行いました。その結果、開発開始からわずか6ヶ月後には、実用的な装甲キットが完成しました。

OGPKは重量があったため、旋回を容易にする電動式旋回装置（BPMTU）が組み込まれました。2007年には実戦配備が始まり、同年にはアメリカ陸軍の優秀発明品トップ10に選ばれました。

その後もOGPKは改良を重ね、市街戦に対応するための装甲屋根の追加や、機関銃の仰角を大きく取れる新型マウントが開発されました。これらの改良は、それぞれ2008年度、2009年度の優秀発明品トップ10に選ばれています。

2011年1月時点で、45,000セットのOGPKがイラクおよびアフガニスタンに展開するアメリカ陸軍に配備されました。また、新生イラク軍や、MRAPを導入した国々でも広く使用されています。

他の防護キット

アメリカ海兵隊では、BAEシステムズが開発したMCTAGS（Marine Corps Transparent Armor Gun Shield）と呼ばれる、OGPKに類似した装甲銃塔キットを調達、配備しています。

現在の動向

近年では、RWS（リモート・ウェポン・ステーション）の普及が進んでおり、車内から外部を視察・操作できるため、銃手が身を乗り出す必要がなくなりました。しかし、RWSが直接視認に完全に取って代わることはできないという考えも根強く、2022年にも新型装甲車AMPV向けに、新たな装甲銃座OCWS（Objective Commander's Weapon Station）のプロトタイプが公開されました。

OGPKは、戦場の変化に対応しながら進化を続けています。

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