MNNA

MNNA（主要な非NATO同盟国）について

MNNA（Major Non-NATO Ally：主要な非NATO同盟国）とは、アメリカ合衆国と戦略的に緊密な協調関係にあるものの、北大西洋条約機構（NATO）には加盟していない国々を指す言葉です。アメリカ合衆国連邦政府によって指定され、指定された国は、軍事的、財政的な優遇措置を受けることができます。

MNNAの定義と特徴

MNNAに指定された国は、自動的にアメリカ合衆国の集団防衛の対象となるわけではありません。しかし、NATO非加盟国には通常与えられない様々な優遇措置が適用されます。これにより、アメリカ合衆国との軍事・経済協力が円滑に進められるようになります。

MNNAの日本語表記

MNNAの日本語表記は統一されておらず、複数の表記方法が存在します。

主要な非NATO同盟国 / 主要非NATO同盟国: 防衛省や防衛研究所などの官公庁、ロイター通信などが使用。
北大西洋条約機構（NATO）非加盟の主要同盟国: 朝日新聞、産経新聞、時事通信、フランス通信社などの多くのマスコミが使用。

MNNAの沿革

MNNAの法的地位は、1987年にアメリカ合衆国議会が「サム・ナン修正案」として知られる規定を合衆国法典に追加した際に創設されました。この規定により、国務長官の承認があれば、NATO非加盟の同盟国との間で武器の研究開発協力協定を締結できるようになりました。最初にMNNAに指定されたのは、オーストラリア、エジプト、イスラエル、日本、韓国の5カ国です。

1996年には、MNNA諸国に対して更なる軍事的・財政的な便益が供与されることになりました。これにより、MNNA指定国は、NATO加盟国と同様に武器輸出管理法（AECA）の適用を免除されることになりました。さらに、大統領は議会への通知後、外国をMNNAに指定する権限を与えられました。この際、ヨルダンとニュージーランドが新たに追加指定されました。

ニュージーランドは、元々ANZUS（太平洋安全保障条約）を通じてアメリカ合衆国と協力関係にありましたが、ニュージーランドが核搭載艦の寄港を拒否したため、協力関係が一時的に停滞していました。しかし、MNNAに指定されたことで、両国間の関係改善が進みました。

2002年9月、アメリカ合衆国議会は台湾（中華民国）を事実上のMNNAとして扱うことを求めました。アメリカ合衆国政府は台湾を国家承認していませんが、議会の意向を受けて、台湾は事実上MNNAとして扱われることになりました。

アフガニスタンはかつてMNNAに指定されていましたが、2022年に指定を解除され、初の指定解除国となりました。

MNNA指定の利点

MNNAに指定された国は、アメリカ合衆国から以下の優遇措置を受けることができます。

アメリカ国防総省との共同研究開発プロジェクトへの参加
特定の対テロ作戦への参加
劣化ウラン弾を用いた対戦車兵器の購入
軍放出品の優先的な配送
米国防総省が所有する戦時備蓄品の入手
共同研究開発プロジェクトに必要な設備・資材の貸付
特定の防衛機器を購入またはリースする際の米国金融の利用許可
共同訓練の実施
宇宙技術の迅速な輸出処理
米国外にある米軍軍事装備品の修理・保守に関する米国防総省との契約への入札許可

MNNAと主要戦略的パートナー/主要防衛パートナー

イスラエルは、MNNAの中でも特に重要な国として「主要戦略的パートナー」に指定されています。また、インドはMNNAではありませんが、「主要防衛パートナー」として、MNNAと同等の地位を与えられています。

MNNAの指定状況（2024年5月時点）

オーストラリア
エジプト
イスラエル
日本
韓国
ヨルダン
ニュージーランド
アルゼンチン
バーレーン
台湾（中華民国）
フィリピン
タイ
クウェート
モロッコ
パキスタン
チュニジア
ブラジル
カタール
コロンビア
ケニア

過去の指定国

アフガニスタン・イスラム共和国

MNNA指定の可能性がある国

シンガポール
ウクライナ
ジョージア
モルドバ
アラブ首長国連邦
オマーン
サウジアラビア
* インド

MNNAの指定は、アメリカ合衆国の外交政策において重要な役割を果たしており、今後もその動向が注目されます。

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