MSX-DOS

MSX-DOS：MSX規格を支えた互換性OS

MSX-DOSは、1980年代にアスキーとマイクロソフトを中心に開発された、MSX規格のパソコン向けオペレーティングシステム（OS）です。当時広く普及していたCP/M|CP_M-80との互換性を持ち、MS-DOSとのファイル共有も可能にするなど、その高い機能性と柔軟性でMSXの普及を支えました。

開発の背景

MSX-DOSは、1983年に策定されたMSX規格のシステム環境として、MSX-BASICとともに開発されました。マイクロソフトはティム・パターソンと契約を結び、MS-DOSをMSXに移植しました。パターソンは1984年にMSX-DOSを完成させました。

CP/M|CP_Mとの互換性

MSX-DOSは、CP/M|CP_M-80の上位互換OSとして設計され、CP/M|CP_M 1.4相当の機能を持っていました。コマンドラインインタプリタには、MS-DOSのCOMMAND.COMをZ-80向けに移植したものが採用されました。これにより、CP/M|CP_M用のアプリケーションをMSX-DOS上で動作させることが可能になりました。ただし、MSX-DOSとMS-DOSの間には、システムコールやバイナリレベルでの互換性はありませんでした。

ファイルシステムとMS-DOSとの連携

MSX-DOSは、MS-DOS 1.25で採用されていたFAT12ファイルシステムと互換性があり、MS-DOSとの間でフロッピーディスクを共有することができました。ただし、MS-DOSで作成されたサブディレクトリは認識のみ可能で、アクセスはできませんでした。また、MSX独自の半角平仮名などをサポートするために8bit透過性が保証されていました。

MSX-DOSの特徴

BIOSとBDOS： MSX-DOSは、BIOSと拡張されたシステムコールであるBDOSを利用して動作しました。BDOSはディスクドライブのインターフェースカートリッジのROMに内蔵されており、DISK-BASICからも利用できました。
柔軟な連携： コマンドプロンプトからDOSとBASICの環境を行き来でき、双方で単一のファイルフォーマット（FAT12）を使用できました。MSX-DOS上のアプリケーションからBIOSを、MSX-BASIC環境からMSX-DOSのBDOSを利用できるなど、柔軟な連携が可能でした。
豊富な機能： 当時の8bitコンピューター用DOSとしては破格の機能と柔軟性を備え、豊富なCP/M|CP_Mアプリケーションやデータを活用することができました。
ストレージ： 最大4台のフロッピーディスクドライブに加え、ハードディスクドライブにも対応しました。ただし、ファイルシステムの制約から、1ドライブあたりの最大容量は32MBに制限されました。

MSX-DOSの拡張と発展

MSX-DOSは、MSX専用のOSとして開発されましたが、NECのPC-8800シリーズやシャープのX1シリーズなどにも移植され、サブセットとして提供されました。また、MSX-DOSはパチンコ基板にも搭載され、そのシェアは非常に大きかったと言われています。

MSX-DOS2：機能の強化

MSX-DOS2は、1988年にMSX2向けに開発された後継OSです。MS-DOS 2.11と同等の仕様の階層ディレクトリやファイル属性、環境変数、リダイレクトなどの機能が追加され、日本語表示にも対応しました。また、マッパーRAMを利用したRAMディスク機能も搭載され、より高度な処理が可能になりました。

MSX-DOS3

MSX-DOS3は、2003年に開発が発表されましたが、その後の状況は不明です。

MSX-DOSの主なアプリケーション

MSX-DOS TOOLS： アセンブラ、リンカ、エディタなどの開発ツールをまとめたパッケージです。
MSX-DOS2 TOOLS： MSX-DOS TOOLSのMSX-DOS2版で、日本語対応がされています。
MSX-SBUG、MSX-SBUG2： シンボリックデバッガです。
MSX-C： MSX用のC言語コンパイラです。

MSX-DOS以外のMSX用DOS

MSXでは、MSX-DOS以外にも以下のようなOSが動作しました。

CP/M|CP_M
S-OS "SWORD"
UZIX
SymbOS
Contiki
Nextor

まとめ

MSX-DOSは、MSX規格の発展に大きく貢献したOSであり、その互換性と柔軟性は多くのユーザーに支持されました。MSX-DOS2へと進化し、より高度な機能を備えるようになったMSX-DOSは、MSXの歴史において重要な役割を果たしました。

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