OpenDocument

OpenDocument (オープンドキュメント)とは



OpenDocumentは、XMLをベースとしたオフィススイート用のファイルフォーマットで、国際標準規格として広く認知されています。構造化情報標準促進協会（OASIS）によって開発され、ISO/IECなどの国際機関、日本を含む各国の工業規格にも認定されています。このフォーマットは、特定のソフトウェアやベンダーに依存せず、長期的なデータ保存と共有を目指して設計されました。競合する国際規格として、MicrosoftのOffice Open XML（OOXML）があります。

概要



OpenDocumentは、OpenOffice.orgで使用されていたドキュメントファイルフォーマットを基に開発されました。テキスト文書、表計算シート、プレゼンテーション資料に加え、数式、グラフィックドキュメント、データベースなど、様々な形式のドキュメントをサポートします。また、多[[言語]]対応が特徴で、文書内の言語や地域を指定できます。データの記述方法と表現方法には一定の規格がありますが、詳細な表現はアプリケーションに依存するため、表示結果が異なる場合があります。しかし、近年のソフトウェア間の互換性向上により、この問題は改善されつつあります。

仕様



OpenDocumentファイル（ODF）は、複数のXMLファイルをZIP形式で圧縮したものです。各XMLファイルは以下のような役割を持っています。

  • - content.xml: テキストコンテンツ
  • - meta.xml: メタ情報
  • - settings.xml: 設定情報
  • - styles.xml: テキストのスタイル情報
  • - meta-inf/manifest.xml: XMLファイルの構造
  • - Thumbnails/thumbnail.png: サムネイル画像（オプション）

バージョン



OpenDocumentにはいくつかのバージョンが存在します。

  • - OpenDocument 1.0: 2005年5月1日にOASIS標準規格として承認。
  • - OpenDocument 1.0 (second edition): 2006年5月1日にISO/IEC 26300:2006として公開。国際規格化に伴い、韓国、ブラジル、南アフリカなど各国で規格化。
  • - OpenDocument 1.1: 2006年10月19日にOASISにより策定。アクセシビリティ機能が追加。2012年3月8日に ISO/IEC 26300:2006/Amd 1:2012として公開。
  • - OpenDocument 1.2: 2011年10月5日にOASIS標準規格として承認。RDFベースのメタデータやOpenFormulaに基づくスプレッドシートの計算式が標準化。2015年6月17日に ISO/IEC 26300:2015として公開。
  • - OpenDocument 1.3: 2021年5月27日にOASIS標準規格として承認。電子署名、OpenPGPベースの暗号化、変更追跡などが追加。

経緯



プロプライエタリなファイル形式は、互換性の欠如や仕様の非公開といった問題を抱えています。これにより、特定の製品に依存する状況が生じ、過去のドキュメントへのアクセスが困難になる可能性があります。OpenDocumentは、このような問題を解決するために、特定ベンダーに依存しないオープンなファイル形式として開発されました。サン・マイクロシステムズが開発したOpenOffice.orgのファイル形式が基になっています。

支持団体



OpenDocumentは、多くの企業や団体から支持されています。

  • - OpenDocument Format Alliance: IBM、Google、コーレルなど600以上の企業・団体。
  • - OASIS ODF Adoption Committee: インド政府の国立情報センター、オランダの税関管理局など。
  • - 日本Open Source Office Suites & OpenDocument Format利用推進グループ（ODPG）：アイコクアルファ株式会社、会津若松市、株式会社アシストなど。

また、Apple、アドビ、Google、IBM、インテル、マイクロソフトなどの主要なIT企業もOpenDocumentを支持しています。LibreOffice、Apache OpenOfficeなどのオープンソースオフィススイートでは、標準ファイル形式として採用されています。

採用



多くのアプリケーションソフトウェアがOpenDocumentに対応しています。

  • - LibreOffice: ODFを標準ファイル形式として採用。
  • - Apache OpenOffice: ODFを標準ファイル形式として採用。
  • - ジャストシステム: 一太郎、花子、三四郎、AgreeでODFの入出力をサポート。
  • - マイクロソフト: Word、Excel、PowerPointでODFの読み書きをサポート。

批判点



初期のOpenDocument規格（1.0、1.1、ISO/IEC 26300:2006）には、以下の欠点がありました。

  • - 表計算の数式言語、構文、関数が明確に定義されていなかった。
  • - 電子署名が定義されていなかった。

これらの問題は、後のバージョンで改善されています。

まとめ



OpenDocumentは、オープンで柔軟なファイル形式として、オフィスドキュメントの相互運用性と長期保存に貢献しています。多くの企業や団体、アプリケーションが採用しており、今後もその重要性は増していくでしょう。

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