Massive open online course

MOOC（Massive Open Online Course）とは

MOOC（Massive Open Online Course）とは、インターネット上で誰もが無料で受講できる大規模なオンライン講義のことです。日本語では「ムーク」と呼ばれることもあります。代表的なプラットフォームとしては、「コーセラ（Coursera）」、「エデックス（edX）」などがあり、日本国内ではJMOOCが提供する「gacco」や「OUJ MOOC」などが知られています。これらのプラットフォームでは、条件を満たせば修了証が交付されるコースもあります。

MOOCの歴史

MOOCの概念自体は古くから存在していました。1962年には、ダグラス・エンゲルバートがコンピュータを用いた講義運営のフレームワークを提唱し、将来的に個人のコンピュータがネットワークで繋がることで知識共有がより円滑になると主張しました。イヴァン・イリイチは、コンピュータ技術を使って誰もが参加できるオープンな教育システムを構築することを提唱し、中央集権化されていない「ラーニングウェブ」を通じて、多くの学生が効率的に学習できる「学校のない社会」を目指しました。イリイチは、良い教育システムには以下の3つの目標が必要であると考えました。

1. 学びたい人が、いつでもどこでも学習リソースにアクセスできること。
2. 学びたい人が、何を学びたいかを共有できること。
3. 公共の知識として広めたい知識を、学びたい人に伝えられること。

当初、この考えは急進的で非現実的とされましたが、多くの人が共感し、その後の様々な動きを経て、2008年にDave Cormierによって「MOOC」という言葉が提唱されました。その後、無料のオンライン講義という意味で使われるようになり、アサバスカ大学のGeorge Siemensとカナダ国家研究会議のStephen Downesらによって最初のMOOCが開催されました。この講義は「Connectivism and Connective Knowledge」と題され、ネットワークを利用した学習理論であるコネクティビズムをテーマとしていました。マニトバ大学の受講生だけでなく、オンラインでも無料で受講でき、2,300名のオンライン受講生が参加しました。授業内容はRSSで確認でき、Moodleの掲示板やブログ、Second Life、オンラインミーティングなどが活用されました。

MOOCは主にアメリカの大学によって運営されており、基本的に無料で参加できます。ビデオ講義だけでなく、知識確認のための試験問題も提供されており、参加者同士のコミュニティも形成されています。コース運営側は参加者からのフィードバックを元に講義を改善できるため、参加者が多いほど効果的な運用が可能となります。MOOC関連技術の進歩と、参加者増加によるコミュニケーションの発達により、MOOCは急速に発展しています。

代表的なプラットフォーム

コーセラ（Coursera）
エデックス（edX）
gacco
OUJ MOOC

MOOCの課題と批評

MOOCには、以下のような課題があると言われています。

利用者作成コンテンツによる学習環境の混乱: 利用者自身が作成したコンテンツが、学習環境を混乱させる可能性があります。
デジタルリテラシーの必要性: オンライン教材を使用するためには、ある程度のデジタルリテラシーが求められます。
時間と労力の問題: 自由なオンラインコースへの取り組みは、生徒が望む以上の時間と労力を要求する場合があります。
コンテンツの改造と再翻訳: コースが一度リリースされると、大勢の生徒によってコンテンツが改造されたり、再翻訳されたりする可能性があり、インストラクターがコースの軌道をコントロールするのが難しくなることがあります。
自主規制の必要性: 関係者は自主規制を行い、自らの目標を設定する必要があります。
言語と翻訳の壁: 言語や翻訳の障壁も課題の一つです。

これらの課題は、ジャーナリストや大学関係者からの批評の対象となっています。ロバート・ゼムスキーは、MOOCはピークを過ぎて衰退過程にあると主張し、他の研究者は低い修了率を指摘しています。

低い修了率

ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学が共同で設立したedXは、MOOCのコース修了率が5.5%であることを発表しました。その後の研究でも、多くのMOOC受講者が途中で学習を諦めてしまうことが明らかになっています。また、MOOCの利用は発展途上国にはあまり見られず、世界の裕福な国々に集中していることも判明しています。

関連情報

関連項目: オープンコースウェア、講義、eラーニング、遠隔教育、通信教育、ウィキバーシティ、ホームスクーリング
外部リンク: MOOC List、JMOOC - 日本オープンオンライン教育推進協議会、iTunes U - Apple (企業)

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