Mate (デスクトップパソコン)

98MATEシリーズ：NECのPC-9800シリーズを支えた名機

NECが1993年から2003年にかけて販売したPC-9800シリーズのデスクトップパソコン「98MATE」は、PC-98シリーズの歴史において重要な役割を果たしたモデル群です。当初は家庭とビジネスの両用途をターゲットとしたメインストリーム機として登場しましたが、その後は法人市場に軸足を移し、長年にわたって多くのユーザーに利用されてきました。

98MATEの系譜

98MATEシリーズは、1993年の「コンパックショック」への対策としてNECがPC-9800シリーズのラインナップを刷新した際に誕生しました。高機能な上位機種として位置づけられ、マルチメディア機能にも対応するなど、当時としては先進的なスペックを備えていました。

98MATE A (A-MATE)

最初の98MATEシリーズであるAは、Windows 3.1の表示に最適化され、高音質サウンド機能も搭載していました。PC-98シリーズでは唯一「98ローカルバス」を搭載し、高解像度表示を実現するオプションボードにも対応していました。SCSIスロットや、前面から容易に内蔵機器を脱着できるファイルスロットも備えており、拡張性にも優れていました。ビジネス用途だけでなく、ゲームなど家庭用マルチメディア用途にも対応できる設計で、中古市場でも高い人気を誇っています。

98MATE B (B-MATE)

廉価モデルとして登場したBは、Windows用のグラフィックアクセラレータチップを標準搭載していましたが、サウンド機能は省かれていました。安価なWindowsプリインストール機というコンセプトで、フロッピーディスクドライブは搭載されていませんでした。コストパフォーマンスの高さが特徴で、その後のシリーズにも影響を与えました。

98MATE X (X-MATE)

Bの後継機種として登場したXは、Aの下位互換性を持つ画面モードに加え、PCM音源を標準またはオプションで搭載していました。Pentium搭載ミニタワー機からCバス搭載の486SX機まで幅広いラインナップが用意され、PC-9821デスクトップの主流機種となりました。ヘビーユーザーや法人向けに拡張性を重視したモデルや、安価なベースモデル、CRT一体型モデルなども展開されました。

98MATE VALUESTAR

1995年、Windows 95のリリースに合わせて登場したVALUESTARは、XをベースにCRTやソフトウェアをセットで販売したモデルです。家庭とビジネスの両方で広く受け入れられ、Xから主流の座を奪うほどの成功を収めました。その後、VALUESTARは独立したブランドへと進化していきます。

98MATE R

Pentium Pro、Pentium II、CeleronなどのP6コアCPUを搭載したRは、Xa、Xvシリーズと同様のコンセプトを継承していました。Xの後継機種として、1999年にはCRTセットモデルも追加されましたが、ソフトのバンドルは行われませんでした。

98MATE SERVER

サーバ用途向けに開発された98MATE SERVERは、Rをベースとしたハードウェア構成を持ち、サーバ管理ソフトウェアやサーバマネージャボードを標準搭載していました。ミニタワー型のみのラインナップで、PCIスロットは2本に制限されていました。

PC-9800シリーズの終焉とその後

1997年のPC98-NXシリーズの登場後も、98MATEはPC-9800シリーズ向けソフトウェア資産を利用するユーザー向けに販売が続けられました。しかし、PC-9800シリーズの終焉と共に、2003年に最終機種であるPC-9821Ra43の受注が終了し、98MATEシリーズの歴史に幕を閉じました。

海外ブランド：PowerMate

日本国外向けにはPowerMateブランドが展開されていました。98MATEシリーズと同じく長い歴史を持ち、NECの海外市場におけるパソコン事業を支えました。

PC98-NXシリーズ以降

PC98-NXシリーズ以降は、VALUESTARの筐体を流用し、「Mate」と「Mate J」の2つのシリーズが展開されました。「Mate」は企業・自治体・官公庁向け、「Mate J」はSOHO・中小企業向けにそれぞれターゲットを絞り、カスタマイズ性やサポート体制に違いがありました。個人ユーザーも購入可能で、高性能と安価な価格が人気の理由となっています。

まとめ

98MATEシリーズは、NECのPC-9800シリーズを代表するデスクトップパソコンとして、長年にわたって多くのユーザーに利用されてきました。家庭用からビジネス用、そしてサーバ用まで幅広いニーズに対応したモデル群は、PC-9800シリーズの歴史における重要な一部を担っています。その後の「Mate」シリーズも、NECのパソコン事業における重要な役割を担い続けています。

もう一度検索