Mi-8 (航空機)

Mi-8 ヘリコプター

Mi-8（ミル8）は、西側NATOコードネーム「ヒップ」として知られる、ソビエト連邦のミル設計局が開発したヘリコプターです。この機体の初飛行は1961年であり、Mi-4を元に改造された原型機が飛行を開始し、その後方型機が誕生しました。今日までに12,000機以上が生産され、軍事や民間の幅広い用途に使われています。

概要

Mi-8はそのシンプルで頑丈な設計、多用途性が特徴的です。ロシア国内ではMi-38やKa-60といった後継機も開発されていますが、Mi-8自体の製造・販売は現在も続いています。そのため、旧東側諸国、アフリカ諸国を中心に、ドイツの警察やアメリカの航空会社など、様々な地域・団体で利用されています。

日本では、朝日航洋が特注の改装を施したMi-8PAという機体を一つ導入しました。この機体は、主に重い物資の輸送や木材搬出に用いられましたが、旅客輸送の規格には適合しなかったにもかかわらず、10年間の運用でほとんど不具合が発生せず、非常に経済的な運航が実現されたと言われています。引退後、この機体は所沢航空発祥記念館に寄贈されています。

2020年にはロシアのMi-8が知床岬近くで領空侵犯を行ったとして、自衛隊の戦闘機がスクランブルをかけ、機体には医療機関を示す赤い十字が描かれていた事例も報告されています。

派生型と運用

Mi-8は多彩な派生型が存在し、軍用型や民間型、特殊任務型など、様々なバージョンがあります。軍用型のMi-8Tは、兵士や物資の輸送が可能で、様々な武装を搭載できる特性から、多くの国で第一線の航空機として運用されています。

例えば、Mi-8TVは対戦車ミサイルや機関銃などを装備し、Mi-8VKPやMi-8PPAといった派生型は空中指揮通信機や電子戦機としても使用されています。さらに、民間市場向けには旅行用や消防、農作業用の改良型が存在し、Mi-8TLやMi-8MA、Mi-8MTVなどが多様な任務に活用されています。

使用国と企業

Mi-8は多くの国で採用されており、アゼルバイジャン、アメリカ、キューバなど、さまざまな地域での運用が確認されています。また、多くの航空会社や軍事組織で利用されが、特にロシアや旧東側諸国での採用が目立ち、世界中で広範に展開しています。

性能・主要諸元

Mi-8の主回転翼直径は21.29m、全長は18.17m、最大離陸重量は10,800kgで、非常に高いペイロードキャパシティを誇ります。発動機はクリーモフTV2-117Aターボシャフトエンジンを二基搭載し、出力は1,700hp×2を実現しています。巡航速度は180km/hで、航続距離は445-500km程度に達します。

文化的影響

Mi-8は映画にも頻繁に登場し、例えば『007 ダイ・アナザー・デイ』では、朝鮮人民軍のヘリコプターとして描かれています。また、ゲームや小説にも数多く登場し、その存在感を示しています。

総じて、Mi-8はその高い汎用性と信頼性から、今なお多くの国や組織に愛用され続けています。

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