MiG-15 (航空機)

MiG-15について

MiG-15（ミグ15）は、ソビエト連邦のミグ設計局によって開発されたジェット戦闘機です。1947年に初飛行が行われ、その後約15,000機以上が製造されました。この機体は特に冷戦期に多くの国で利用され、特に旧東側諸国や第三世界の国家に広く採用されました。

開発の経緯と特長

第二次世界大戦後、アメリカとソビエトはドイツから先進的な航空技術とデータを多数入手しました。その中でも、ソ連はドイツが研究していた後退翼のデータを活用し、それまで独自に作成していた戦闘機よりも優れた性能を謳歌する機体を開発することに成功しました。

設計者であるミコヤンは、英国のロールス・ロイス社から遠心圧縮式ターボジェットエンジンのサンプルを手に入れ、その技術を借用して独自の改良型エンジンRD-45Fを製造しました。このエンジンは、敵対する米国や英国製の戦闘機に対抗するために機体全体を軽量化することを目指す設計に組み込まれました。MiG-15はその結果、優れた機動性を持ちながらも、生産コストを抑えることに成功しています。

また、機首には37 mm及び23 mmの強力な機関砲を装備しているため、攻撃力も高い特徴があります。特に、MiG-15は硬い地面でも離着陸可能な頑丈な降着装置を使用しており、特殊な滑走路条件でも適応力があります。このため、冷戦時の数々の空中戦で高いパフォーマンスを発揮しました。

実戦経験

MiG-15の実戦投入は国共内戦から始まりましたが、特に注目すべきは朝鮮戦争の期間中です。1950年10月、中国軍がMiG-15を用いて国連軍の制空権を脅かし、その後の空中戦では国連軍のF-86セイバーとの激しい交戦が繰り広げられました。両機の撃墜率には諸説あり、アメリカ側は10対1を主張しましたが、公式記録は1990年代に4対1に修正されています。ソ連側の記録では2対1とされていますが、これには様々な要因が含まれており、実際の数字はより複雑と言われています。

時代を超えた影響

MiG-15の登場は冷戦時代の航空機デザインにも影響を与えました。小型で軽量な機体に強力なエンジンを搭載するというその設計哲学は、アメリカのF-104スターファイターや英国のフォーランド・ナットに反映されました。これらの機体は、MiG-15のデザインコンセプトから得た多くの教訓を基にしています。

しかし、次第にそのデザイン哲学は変化し、戦闘機の対地攻撃任務を重視した結果、米空軍はより重く大型の機体へと移行していきました。そのためベトナム戦争では、MiGシリーズの後継機であるMiG-17やMiG-19に苦しむことになります。ただ、この性能の低下はMiGシリーズの改良によって解消されていきました。

現在の運用状況

現在でも、MiG-15は一部の国で練習機として運用されています。特に北朝鮮では、現役機体として存在し続けていることが確認されています。2019年の衛星写真からは、北朝鮮の葛麻飛行場においてMiG-15が多数確認され、その実働状況に驚かされます。2022年には、北朝鮮が行った航空訓練においてもMiG-15が参加したとされています。

各種派生型

MiG-15には多くの派生型があり、初期型のMiG-15を始め、改良版のMiG-15bisや複座練習機型のMiG-15UTIが存在します。これらの機体は、多様な任務に対応するために改良され、世界中で運用されています。特にMiG-15UTIは高等練習機として長期間にわたり利用され、訓練機としての役割を果たしてきました。

また、中華人民共和国でもJ-2と呼ばれるMiG-15の運用が行われていましたが、国内での新規生産はなされていません。こうした背景からも、MiG-15はその特異なデザインと性能を通じて、航空機史において重要な位置を占めることとなっています。

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