MikuMikuDance

MikuMikuDance (MMD) とは

MikuMikuDance（ミクミクダンス）、通称MMDは、樋口優氏によって開発された3DCGアニメーション作成ソフトウェアです。プリセットされた3Dキャラクターモデルを操作し、手軽にアニメーションを作成できるのが特徴です。特に、初音ミクをはじめとするVOCALOIDキャラクターの3Dモデルがデフォルトで利用可能なため、多くのユーザーに支持されています。MMDは、個人制作のフリーウェアであり、初音ミクの販売元であるクリプトン・フューチャー・メディアによる公式製品ではありません。

MMDの特徴

MMDの大きな特徴は、その扱いやすさにあります。3DCGの知識があまりない初心者でも、すぐにアニメーション制作を始められます。あにまさ氏が制作した3Dモデルが用意されているため、キャラクターを動かす楽しさをすぐに体験できます。また、リアルタイム性を重視しており、DirectXをレンダリングに用いることで、作成したアニメーションをすぐに確認できるのも魅力です。長時間のレンダリングを必要とせず、動画制作の効率を大幅に向上させます。MMDの登場は、3Dアニメーション制作のハードルを大きく下げたと評価されています。

さらに、VOCALOIDの歌唱データ（VSQファイル）を読み込み、自動でリップシンクを作成する機能も備えています。これにより、キャラクターが歌っているような自然なアニメーションを簡単に作成できます。

開発当初、MMDは低スペックのパソコンでも動作するように設計されました。これは、開発者である樋口氏のパソコン環境が当時としては低スペックであったことに起因します。しかし、機能が追加された最近のバージョンや、読み込むモデルデータによっては、比較的高スペックのパソコンが必要になる場合もあります。MMDはアニメーション作成に特化しており、モデルデータの作成や改造には外部ツールが必要となります。

MMDの歴史

MMDは、樋口氏が自身で初音ミクの3D映像を制作するために開発したものでした。当初は公開を予定していなかったのですが、3D動画制作における苦労から、自らプログラムを組んで動かすことを決意し、2007年の大晦日に開発を開始しました。わずか50～70時間ほどの短期間で完成したというから驚きです。

開発当時、クリプトン・フューチャー・メディアのガイドラインでは、初音ミクなどのキャラクターを利用したプログラム作品が禁止されていました。しかし、2008年2月22日にガイドラインが改定され、プログラム作品も解禁されたことを受けて、樋口氏はあにまさ氏と連絡を取り、同月24日にMMDを公開しました。同時に、ニコニコ動画に利用方法を解説した動画を投稿したところ、大きな反響を呼びました。MMDの完成度の高さに感動したユーザーからは、金銭を払ってでも使いたいという声が多数上がり、「振り込めない詐欺」と評されるほどでした。樋口氏は、ユーザーの反響に対して「寄付してもいいと言ってもらえるのは大変光栄だが、それほど気に入っていただけたら、ぜひこのソフトを使って素晴らしい動画を作って公開してもらい、私をニコニコさせてほしい」とコメントしています。

公開後もMMDはバージョンアップを重ね、当初は初音ミクの3Dモデルしか利用できませんでしたが、Ver.3.01以降はマルチモデル化され、他のVOCALOIDキャラクターも扱えるようになりました。さらに、ユーザーの手によって、東方ProjectやTHE IDOLM@STER、その他既存の商業作品のキャラクターをモデルとした、いわゆる「ユーザーモデル」が多数公開され、MMDは事実上、VOCALOIDだけでなく、より汎用的な3Dツールとしての発展を見せています。ただし、ユーザーモデルについては、キャラクターの権利関係が必ずしも明確ではないという問題も抱えており、MMD自体への悪影響を懸念する声もあります。そのため、樋口氏はユーザーモデルについては一切関知しないという姿勢を取っています。

2010年末には、NVIDIAの3D Visionに対応した立体視や、Xbox 360向けのゲームデバイスKinectを利用したモーションキャプチャも可能になりました。3D Visionへの対応はNVIDIA社の日本スタッフからの働きかけによるものですが、樋口氏は機材支援の申し出を断ったそうです。

MMDの開発は、2011年5月にVer.7.39をもって一旦終了がアナウンスされましたが、その後も機能が拡充され、2019年12月時点では、VPVPwikiサイトでVer.9.32（XP版は5.24）まで入手可能です。

MMDの公開直後から、ニコニコ動画にはMMDを使用した動画が多数投稿され、ユーザーコミュニティも形成されました。ニコニコ動画を舞台に、ユーザーによる動画コンテスト「MMD杯」も開催されるようになりました。また、MMDを使用した動画は、テレビCMやアニメーション作品などにも利用されるようになり、その活躍の場を広げています。

MMD関連ツールとサイト

MMDでの動画制作をサポートする様々なツールやサイトが存在します。

MikuMikuEffect (MME)
MMDの描画処理にエフェクトを加えるツール。描画割り込みによって様々なエフェクトを表現できます。
ユーザーが作成したエフェクトファイルも多く、コミュニティで共有されています。

iwara TV
MMDで作成された動画を専門に扱う動画投稿サイトです。

デフォルトで用意されているキャラクターモデル

MMDには、以下のキャラクターモデルがデフォルトで用意されています（Ver.8.10時点）。

初音ミク
鏡音リン
鏡音レン
亞北ネル
弱音ハク
咲音メイコ
KAITO
MEIKO
巡音ルカ（Ver.8.10にて追加）

MMDが利用された作品例

MMDは、アニメーション制作にも利用されており、以下のような作品に採用されています。

gdgd妖精s
慟哭のナイトメア
直球表題ロボットアニメ
てさぐれ!部活もの
みならいディーバ
なりヒロwww
Hi☆sCoool! セハガール
キュートランスフォーマー 帰ってきたコンボイの謎
コチンPa!
魔法少女?なりあ☆がーるず
3ねんDぐみガラスの仮面
イケメン戦国◆時をかける恋
Forest Fairy Five
おにゃんこポン
gdメン
でびどる!

他OS用のソフトウェア

MMDの派生ソフトウェアとして、以下のようなものがあります。

nanoem - WindowsとmacOS対応
MikuMikuPenguin - Windows対応のMMDクローンソフト
MikuMikuMoving - Windows対応のMMDクローンソフト

関連情報

ニコニコ動画: MMD動画が多数投稿されている動画サイト。
VOCALOID: MMDで利用可能なキャラクター。
VOCALOIDの派生キャラクター: MMDで利用可能な派生キャラクター。
Bullet: MMDで使用されている物理演算エンジン。
True My Heart: MMDのサンプルデータとして、ダンスモーションが付属。

外部リンク

VPVP: MMD公式サイト。
VPVP wiki: MMDに関する情報が集まるWiki。


MMDは、手軽に3Dアニメーションを楽しめるソフトウェアとして、今後も多くのクリエイターに利用され続けるでしょう。

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