Mk 29 (ミサイル発射機)

Mk 29 GMLS：艦載ミサイルランチャーの進化

Mk 29 GMLS（Mark 29 Guided Missile Launching System）は、RIM-7 シースパロー、アルバトロス、RIM-162 ESSMといった艦対空ミサイルを発射する、箱型の8連装ランチャーです。NATOシースパロー・ミサイルシステム（NSSMS）におけるミサイル発射システムとして開発されました。

Mk 29 GMLS以前のシステムであるシースパローBPDMSでは、Mk.25 GMLSが使用されていました。しかし、Mk.25 GMLSは76mm連装砲のマウントを流用した応急的な設計だったため、旋回・俯仰速度が遅く、高速で機動する対艦ミサイルへの対応に課題がありました。

そこで開発されたのが、Mk 29 GMLSです。性能向上に加え、ミサイル自体の改良も反映されています。具体的には、RIM-7Eミサイルの動翼が固定式だったのに対し、IBPDMSで使用されるミサイルでは折り畳み式となり、キャニスターの小型化を実現しました。この結果、キャニスターの対角線長は約1.1メートルから約0.8メートルへと短縮されました。

また、迅速な発射とミサイルの保護を両立させるため、キャニスターの前方には合成樹脂製のカバーが取り付けられています。敵襲時には、ミサイルはこのカバーを突き破って発射されます。

イタリア海軍では、AIM-7Eを基に開発したアスピーデ艦対空ミサイル（アルバトロス）のために、76mmコンパクト砲と共通のマウントを用いた、Mk 29 GMLSとほぼ同等のミサイル発射機を開発しました。これは日本において短SAM発射機3型（GMLS-3）としてライセンス生産され、護衛艦などに搭載されました。

現在では、新造艦艇ではより耐候性と即応性に優れたMk 41やMk 48といった垂直発射システム（VLS）がシースパローやESSMの発射システムとして採用されることが一般的となっています。しかし、Mk 29 GMLSは比較的単純な構造であるため、現在でも多くの国で運用されています。

Mk 29 GMLSは、艦艇の防空システムにおいて重要な役割を果たしたミサイルランチャーです。その設計と運用は、艦載ミサイルシステムの進化の歴史を語る上で重要な要素となっています。簡素な構造ながら、その実用性から現在も運用されている点が特徴的です。将来的な更新はVLSへの移行が進むと考えられますが、Mk 29 GMLSの歴史的意義は依然として高いと言えます。

諸元（例）

※具体的な諸元は機密情報である場合があり、公開情報にばらつきがあります。

関連システム

Mk 41 VLS：多用途垂直発射システム。シースパローやESSMも運用可能。
Mk 48 VLS：シースパロー/ESSM専用の垂直発射システム。

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