Mk 42 5インチ砲

Mk.42 5インチ単装速射砲

Mk.42 5インチ単装速射砲は、アメリカ海軍の艦砲システムであり、54口径127mm砲Mk.18を単装砲塔形式で設置した以外にも、艦艇の防空能力を飛躍的に向上させる役割を果たしています。

来歴

この砲の開発は、第二次世界大戦後期のアメリカ海軍における対空兵器の需要に応じて始まりました。戦後の艦艇には、遠距離用の38口径12.7cm砲、中距離用の56口径40mm機銃、近距離の70口径20mm機銃が搭載され、防空網が形成されていました。しかし、航空機の性能向上により、既存の兵器では不安が残る状況になっていました。このため、アメリカ海軍兵器局は1939年から54口径12.7cm砲の開発に着手しました。

Mk.39単装砲がミッドウェイ級航空母艦に搭載される一方で、その速度と効率の改善が求められました。従来の人力装填方式では、レーザー敵機に対して充分な対応ができないと判断し、装填や給弾を自動化した省力化に移行しました。その結果、本砲が1950年に開発完了し、オレゴン・シティ級重巡洋艦に配備されました。

設計

Mk.42 5インチ単装速射砲は、露天甲板上に設けられた砲塔と、その下に設置された上部・下部揚弾薬機構、換装室、弾火薬供給所から構成されています。このシステムは16名の操作要員で運営され、後期型ではその数が12名に削減されました。発射速度は毎分40発という優れた性能を持ち、これを実現するために揚弾薬作業を機械化しています。

揚弾薬機構は左右に2組設定されており、一方が故障してももう一方で運用できるデザインになっています。弾火薬供給所では、弾薬が人力で装填され、その後、上下の揚弾薬機を経て砲塔に運ばれます。

特徴

本砲の最大の特徴は、その高い発射速度と正確さです。初期型では砲塔操縦士のための照準用ドームが設けられましたが、後期型ではこの構造が簡素化され、スムーズな操作が可能となっています。また、Mk.42 5インチ砲をMk.68砲射撃指揮装置と組み合わせることで、対空有効射程は約5,000ヤード（約4,600メートル）となり、非常に効果的な火力を提供します。

派生型

Mk.42 5インチ砲は、いくつかの派生型が存在します。各モデルは要求される性能に応じて異なる改良が施されています。日本製鋼所ではライセンス生産され、73式54口径5インチ単装速射砲として知られています。

採用艦艇とメディア

この砲は、映画『ゴジラvsビオランテ』に登場したり、漫画『沈黙の艦隊』や小説『亡国のイージス』でも描かれています。このように、Mk.42は非常に高い評価を受ける艦砲システムとなっており、アメリカ海軍における防空戦力の要と言えるでしょう。

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