Mk44 (魚雷)

Mk.44短魚雷

Mk.44はアメリカ合衆国で開発された短魚雷であり、主に対潜作戦に使用される誘導兵器です。この魚雷はアメリカだけでなく、カナダ、フランス、イタリア、日本、イギリス、オーストラリアなどでも採用されています。1959年から1965年の間に、アメリカ国内で10,583発が製造され、対潜用の標準兵器として広く利用されてきました。

来歴

第二次世界大戦後、アメリカ海軍は次世代の対潜兵器として、アクティブ音響ホーミング式の誘導魚雷の開発を始めました。その中で水上艦用のMk.32や、本格的な航空魚雷としてのMk.43がそれぞれ1940年代や1950年代に配備されましたが、従来の魚雷は低速であり、信頼性にも懸念がありました。このため、より高性能な第二世代の短魚雷の開発が必要とされました。

Mk.44は1952年に開発が始まり、1956年までに完成しました。最初の設計案はアメリカ海軍の主導による電気モーターとプロペラを直結させたEX-2Aと、硝酸プロピル系燃料を使用するEX-2Bの2案が検討されましたが、EX-2Bは燃料事故を起こしたため、電気モーターに基づいた設計にシフトしました。最終的に改良されたEX-2Bが採用され、Mk.44 mod.0として導入されました。1956年からは、さらに改良を施したMk.44 mod.1が実用化され、1958年には生産が開始されました。

設計

Mk.44の設計は、短魚雷としては典型的な構造を持っており、前方にセンサー部、続いて弾頭部、誘導部、バッテリー部、最後に機関部が配置されています。バッテリーは海水を電解質として使用し、塩化銀とマグネシウムの電極を持つ海水電池となっています。

また、この魚雷は4翔式の二重反転プロペラと4枚の制御翼を備えており、精密な運用が可能です。捜索パターンは直径130mの螺旋状であり、潜航しながら設定された初期捜索深度での旋回捜索を行います。初期深さを50、150、250、450、650、900フィートから選択でき、降下/上昇角度も調整可能です。これにより、連続発射による戦術も実施されます。

Mk.32のような投射型システムを用いることで、水中艦艇での発射がスムーズに行えます。特に、アスロックやアイカラなどの対潜ミサイルの弾頭としても使用され、対潜哨戒機や哨戒ヘリコプターにも搭載されています。

配備と発展

Mk.44は、通常動力型の潜水艦に対抗するために17ノット以下での速力を想定して開発されましたが、ソビエト連邦が配備を進めた高速原子力潜水艦に対しては速度面での不足が指摘されました。このため、1966年からはより性能の優れたMk.46が部隊配備されるようになりました。そして、Mk.44は北大西洋条約機構（NATO）を含む多くの西側諸国の標準的な対潜魚雷に位置づけられました。

日本の海上自衛隊では、1963年よりMk.32短魚雷発射管と共にMk.44 mod.1を導入し、1964年にはライセンス生産を行いました。しかし、アメリカ海軍と同様の問題が発生し、1973年からは73式短魚雷の開発が進められました。他国でも退役が進行しており、ニュージーランド海軍では1993年に退役が確認されています。

さらに、Mk.44は広く採用されたことから、1986年にはハネウェル社がデジタル化した音響装置を提供し、韓国海軍にKT44として採用されました。これにより、シーカーの捜索範囲が強化され、故障間隔も向上しました。また、南アフリカのIMT社はA44と名付けて全面的に再設計を行い、より高性能な各種要素を組み込みました。

結論

Mk.44はその開発から現在に至るまで、対潜戦力としての重要な役割を果たしてきました。これからもその信頼性と性能向上に寄与する技術革新が期待されています。

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