Mk 22 3インチ砲

Mk.22 3インチ単装緩射砲の概要

Mk.22 3インチ単装緩射砲は、アメリカ合衆国が開発した艦載砲システムで、アメリカ海軍が第二次世界大戦中に広く導入した武器の一つです。この砲は主に駆逐艦や護衛駆逐艦、フリゲート、その他の補助艦艇に搭載されました。砲システムは、Mk.21の砲身と単装のMk.22砲座から構成され、装填は手動で行われます。

当初の射撃指揮は、Mk.14またはMk.15照準器を利用し、後に発展したMk.51射撃指揮装置（GFCS）によって行われました。これにより、目標に対する射撃精度が向上し、多様な火力支援を可能にしました。特にこの砲は、予備の部品が必要な場合や、メンテナンス時の容易さから兵器として重宝されました。

日本においては、1948年に創設された海上保安庁においても採用され、最大口径の火砲として利用されました。1952年から1953年にかけて、450トン型巡視船「しきね」に装備され、運用試験が行われました。同年から1955年にかけて、20mmおよび40mmの単装機銃とともに、Mk.22砲33基が海上保安庁に貸与されました。1955年にはこれらの貸与が供与に切り替わりました。

海上自衛隊でも、アメリカから供与された艦艇にMk.22砲が装備されたり、日本製鋼所で製造された54式76ミリ50口径砲としてライセンス生産されました。これらの砲は、戦後に登場した半自動砲と対比され、緩射砲として言及されることが多いです。

しかし、時代の変化と共に装備の老朽化が進み、既にアメリカ海軍や沿岸警備隊、海上保安庁では使用が終了しています。現在もフィリピン海軍やスペイン海軍の一部艦艇においては運用が続けられています。特にフィリピン海軍では、アメリカから供与された艦艇で引き続きMk.22砲が使用されており、最近では1991年に就役したセルビオーラ級哨戒艦にも搭載されています。

また、日本においては海上自衛隊が運用を終了した後、くす型護衛艦から撤去したMk.22砲3門が観音崎礼砲台に設置され、現在は礼砲として使われています。

仕様

• - 種別: 後装式ライフル砲
• - 口径: 76mm
• - 砲身長: 50口径長
• - 重量: 3.5t (7,700lb)
• - 作動方式: 全手動式
• - 砲尾: 垂直鎖栓式
• - 発射速度: 20発/分
• - 有効射程: 8.95km (4.83nmi)
• - 最大射程: 12.8km (6.9nmi)
• - 初速: 808m/s
• - 俯仰角: -15°〜+85°
• - 旋回角: 360°
• - 弾薬: 完全弾薬筒
• - 砲弾重量: 5.93kg

登場作品

この砲は映画やドラマにも登場しています。例えば、映画『眼下の敵』では架空の護衛艦に搭載され、Uボートに対して使用されました。また、『トラ・トラ・トラ!』では真珠湾攻撃のシーンでアメリカ海軍艦艇に装備されていたことが描かれています。

テレビドラマ『ウルトラQ』では、巡視船「しきね」がボスタングに対抗するシーンで実物が使用され、海上保安庁の全面協力を得て撮影されました。

本砲は、戦争と平和の中でさまざまな役割を持ちながら、時代の変化と共にその運用が続けられています。

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