Mr.ムーンライト

フォリナー『Mr.ムーンライト』:ルー・グラム復帰作



『Mr.ムーンライト』(Mr. Moonlight)は、イギリスとアメリカ出身のメンバーからなるロックバンド、フォリナー1994年に発表した通算8作目のスタジオ・アルバムです。本作は、オリジナル・ボーカリストであるルー・グラムが、前作のスタジオ・アルバムインサイド・インフォメーション』(1987年)以来、全面的に参加した重要な作品となっています。

背景:ルー・グラムのバンド復帰



ルー・グラムは、ソロ活動として『ロング・ハード・ルック』を1989年に発表した後、1990年にフォリナーを一度脱退しました。しかし、その後の1992年にバンドへ戻り、ベスト・アルバム『アンド・ビヨンド (ベスト・オブ)』に収録された3曲の新曲制作に参加しています。そして、本作『Mr.ムーンライト』において、グラムはミック・ジョーンズ、マイク・ストーンと共にプロデューサーとしてもクレジットされ、完全にバンドのフロントマンとして復帰を果たしました。グラム自身は、後年のインタビューで、このアルバムに対して特別な思い入れがあることを明かし、「私がフォリナーと共に作り上げたアルバムの中で、最も気に入っている作品だ」と語っています。

リリース形態と市場の反応



本作は、リリースされた地域によって仕様が異なりました。ヨーロッパではアリスタ・レコードから発売され、「ホワイト・ライ」がオープニングトラックとして配置されました。一方、アメリカではリズム・サファリからのリリースとなり、こちらは翌1995年の発売で、「アンダー・ザ・ガン」がアルバムの冒頭を飾っています。また、日本盤にはボーナス・トラックとして「クラッシュ・アンド・バーン」が追加収録されました。

市場での反響は、地域によって対照的でした。イギリスでは、アルバムに先駆けてリリースされたシングル「ホワイト・ライ」が全英シングルチャートで最高58位を記録。アルバム自体も、1994年11月12日付の全英アルバムチャートにおいて59位にランクインしました。

しかし、主要市場であるアメリカでの反応は厳しく、1995年に発売されたアメリカ盤CDはBillboard 200で最高136位に留まりました。これは、フォリナーが過去に発表したスタジオ・アルバムの中では最も低いチャート成績でした。一方で、アメリカではシングルカットされた「アンティル・ジ・エンド・オブ・タイム」が、総合シングルチャートのBillboard Hot 100で42位、アダルト・コンテンポラリー・チャートでは8位を記録するなど、一定の成功を収めています。

収録曲リスト



以下のリストは、主な収録曲とそれぞれのバージョンにおける収録順を示しています。特記がない楽曲は、ルー・グラムとミック・ジョーンズの共作です。

イギリス盤、日本盤

1. ホワイト・ライ - "White Lie" - 4:17
2. レイン - "Rain" (Lou Gramm, Mick Jones, Bruce Turgon) - 4:35
3. アンティル・ジ・エンド・オブ・タイム - "Until the End of Time" (L. Gramm, M. Jones, B. Turgon) - 4:52
4. オール・アイ・ニード・トゥ・ノウ - "All I Need to Know" - 4:45
5. ランニング・ザ・リスク - "Running the Risk" (L. Gramm, Jeff Jacobs, M. Jones, B. Turgon) - 5:09
6. リアル・ワールド - "Real World" - 6:20
7. ビッグ・ドッグ - "Big Dog" - 4:47
8. ホール・イン・マイ・ソウル - "Hole in My Soul" - 5:09
9. アイ・キープ・ホーピング - "I Keep Hoping" (L. Gramm, J. Jacobs, M. Jones) - 5:10
10. アンダー・ザ・ガン - "Under the Gun" (L. Gramm, J. Jacobs, M. Jones) - 4:18
11. ハンド・オン・マイ・ハート - "Hand on My Heart" (L. Gramm, M. Jones, B. Turgon) - 4:59
12. クラッシュ・アンド・バーン - "Crash and Burn" - 4:36 (日本盤ボーナス・トラック)

アメリカ盤

1. "Under the Gun" (L. Gramm, J. Jacobs, M. Jones) - 3:52
2. "Rain" (L. Gramm, M. Jones, B. Turgon) - 4:34
3. "Until the End of Time" (L. Gramm, M. Jones, B. Turgon) - 4:51
4. "White Lie" - 4:17
5. "Big Dog" - 4:47
6. "Real World" - 6:19
7. "All I Need to Know" - 4:45
8. "Hole in My Soul" - 5:08
9. "I Keep Hoping" (L. Gramm, J. Jacobs, M. Jones) - 5:15
10. "Running the Risk" (L. Gramm, J. Jacobs, M. Jones, B. Turgon) - 5:09
11. "Hand on My Heart" (L. Gramm, M. Jones, B. Turgon) - 4:59

※アメリカ盤の「Under the Gun」と「I Keep Hoping」は、他のバージョンと演奏時間が若干異なります。

アルバム制作に関わったミュージシャン



本作の制作には、以下のミュージシャンが参加しています。

フォリナー主要メンバー:

ルー・グラム – ボーカル、パーカッション
ミック・ジョーンズ – ギターピアノ、バック・ボーカル
ジェフ・ジェイコブス - ピアノオルガン、キーボード、バック・ボーカル
ブルース・ターゴン – ベース、バック・ボーカル
マーク・シュルマン – ドラムス、バック・ボーカル

アディショナル・ミュージシャン:

デュアン・エディ - リードギター (on "Until the End of Time")
イアン・ロイド - バック・ボーカル
スコット・ギルマン - サクソフォーンリコーダー、バック・ボーカル
ルイス・エンリケス - パーカッション
ビリー・ブレムナー - ギター (on "All I Need to Know")
ポーレット・マクウィリアムズ - バック・ボーカル (on "I Keep Hoping")
タワサ・アジー - バック・ボーカル (on "I Keep Hoping")
ロビン・クラーク - バック・ボーカル (on "I Keep Hoping")
ランディ・カンター - ギター、キーボード (on "White Lie", "Rain")

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