アンド・ビヨンド (ベスト・オブ)

『アンド・ビヨンド (ベスト・オブ)』は、イギリスとアメリカのメンバーから成るロックバンド、フォリナーが1992年にリリースしたベストアルバムです。原題は「The Very Best...and Beyond」とされています。

制作背景

このアルバムは、1989年に一度バンドを離れたオリジナルボーカリスト、ルー・グラムの再加入後に制作されたという特徴を持っています。ベスト選曲に加えて、彼の復帰後としては初めてとなる新たな録音が3曲追加されました。これらの新曲のレコーディングには、バンドメンバーに加えて外部から多数のプレイヤーが招かれています。具体的には、マーク・シャルマン、スカイラー・ディール、ジョン・パーデル、ロビン・セラッテといったミュージシャンが参加し、チープ・トリックのロビン・ザンダーがゲストボーカリストとしてクレジットされています。また、パーデル、シェリル・クロウ、ベス・フッカー、マリリン・マーティンらがバックボーカルを務めました。

収録曲と構成

本作は、フォリナーのキャリアを代表するヒット曲群に、前述の新曲3曲を加えた全17曲で構成されています。過去の楽曲は、バンドの初期から中期にかけての主要アルバムから選ばれており、彼らのサウンドの変遷をたどることもできます。

反響と評価

『アンド・ビヨンド』は、特にアメリカで商業的な成功を収めました。Billboard 200チャートには20週にわたってランクインし、最高順位は1992年10月31日付の123位を記録しています。また、アルバムからシングルカットされた新曲「ソウル・ドクター」は、『ビルボード』のメインストリーム・ロック・チャートで5位に達するヒットとなりました。リリースから約8年後の2000年11月には、アメリカレコード協会（RIAA）からダブル・プラチナの認定を受け、200万枚以上のセールスを記録したことが証明されました。ニュージーランドのアルバムチャートでも、1995年5月14日付で49位を記録しています。

音楽評論家の評価は分かれる傾向が見られました。オールミュージックのMike DeGagneは5点満点中4点を与え、「バンドが才能を枯渇させる前に、よりソフトなロック・サウンドへ方向転換したことを示した、素晴らしい編集盤」と好意的に評価しました。一方、『エンターテインメント・ウィークリー』誌のデボラ・フロストは1992年11月27日付のレビューでCプラスという評価を与え、全体については「熱烈なスタジオ録音の栄光を余すところなく捉えている」としながらも、新曲に対しては「フォリナーが過去に残した名曲の貧相な焼き直し」と批判的な意見を述べました。日本の『CDジャーナル』のミニ・レビューでは、「全17曲一気に聴き通せることが、このバンドのクオリティの高さの証明だ」と評され、アルバム全体の質の高さが強調されています。

収録曲リスト

特記なき楽曲はルー・グラムとミック・ジョーンズの共作です。

1. ソウル・ドクター - "Soul Doctor" - 4:51 (新曲)
2. プリズナー・オブ・ラヴ - "Prisoner of Love" - 5:15 (新曲)
3. ウィズ・ヘヴン・オン・アワ・サイド - "With Heaven on Our Side" (Lou Gramm, Mick Jones, Johnny Edwards, Parthenon Huxley, Steve Schiff) - 5:16 (新曲)
4. ジューク・ボックス・ヒーロー - "Juke Box Hero" - 4:20 (アルバム『4』より)
5. ホット・ブラッデッド - "Hot Blooded" - 4:24 (アルバム『ダブル・ヴィジョン』より)
6. つめたいお前 - "Cold as Ice" - 3:20 (アルバム『栄光の旅立ち』より)
7. ヘッド・ゲームス - "Head Games" - 3:37 (アルバム『ヘッド・ゲームス』より)
8. ガール・ライク・ユー - "Waiting for a Girl Like You" - 4:49 (アルバム『4』より)
9. アージェント - "Urgent" (M. Jones) - 4:29 (アルバム『4』より)
10. ダブル・ヴィジョン - "Double Vision" - 3:44 (アルバム『ダブル・ヴィジョン』より)
11. アイ・ウォナ・ノウ - "I Want to Know What Love Is" (M. Jones) - 5:04 (アルバム『プロヴォカトゥール (煽動)』より)
12. セイ・ユー・ウィル - "Say You Will" - 4:11 (アルバム『インサイド・インフォメーション』より)
13. イエスタデイ - "That Was Yesterday" - 3:46 (アルバム『プロヴォカトゥール (煽動)』より)
14. ウィズアウト・ユー - "I Don't Want to Live Without You" (M. Jones) - 4:53 (アルバム『インサイド・インフォメーション』より)
15. レヴ・オン・ザ・レッド・ライン - "Rev on the Red Line" (L. Gramm, Al Greenwood) - 3:34 (アルバム『ヘッド・ゲームス』より)
16. ダーティ・ホワイト・ボーイ - "Dirty White Boy" - 3:38 (アルバム『ヘッド・ゲームス』より)
17. 衝撃のファースト・タイム - "Feels Like the First Time" (M. Jones) - 3:49 (アルバム『栄光の旅立ち』より)

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