Ms型潜水艦

Ms型潜水艦：第一次世界大戦下のドイツ戦時量産潜水艦

Ms型潜水艦は、第一次世界大戦中にドイツ海軍が運用した潜水艦（Uボート）の一群を指します。具体的には、U51型からU160型までの戦時設計型潜水艦をまとめた呼称です。「Ms」とは、Mobilisation（動員）の略であり、これらの潜水艦が戦時下の緊急な需要に応えるために、迅速な建造を目的として設計されたことを意味します。一部の資料では、前級であるU43型もMs型に含めることがあります。

開発の背景

ドイツ海軍は、1912年夏頃から、長期間にわたる作戦行動を可能にする潜水艦の必要性を認識し、U43型を建造しました。U43型は高い性能を示しましたが、構造が複雑で建造に時間がかかるため、量産には不向きでした。第一次世界大戦の勃発により、潜水艦の早期量産が急務となったため、海軍はU43型に加えて、より建造が容易な戦時急造型潜水艦（Ms型）を量産することに決定しました。

まず、既存のU27型とU31型の欠点を改良したU51型とU57型が建造されました。これら2つのタイプがU43型と共に、第一次大戦中のドイツ潜水艦の基本形となりました。その後もMs型は、運用側の意見や実戦での教訓、搭載機器の進歩を取り入れながら改良が続けられ、大戦中に合計68隻が完成しました。これらの潜水艦は実戦で大きな戦果を挙げましたが、同時に多くの損失も出し、終戦までに31隻が失われました。

設計と評価

Ms型は、戦時中に生産されたため、戦訓を反映して設計が頻繁に変更されました。また、艤装の際に造船所にある程度の自由が認められていたため、同型艦であっても外観や内部構造が大きく異なることがありました。このため、艦隊運用時には整備面で問題が生じることもありましたが、良好な運動性と優れた急速潜航能力が高く評価され、艦隊からの評判は良かったとされています。Ms型潜水艦には、就役後に大規模な改装を受けた艦が1隻も存在しないことも、その優秀さを示す一例と言えるでしょう。

各型

Ms型に分類される主な艦級は以下の通りです。

U51型
U57型
U60型
U63型
U81型：クリッパー型艦首など、設計が大幅に変更された型
U87型：U43型の魚雷搭載数を増加させた小改正型
U93型：U81型の武装強化型
U99型
U105型
U111型
U115型：Ms型の最終形。建造中に終戦を迎えたため、完成艦は存在しません。
U160型：U87型の艦首をクリッパー型に改設計した型。建造中に終戦を迎えたため、完成艦は存在しません。

主要諸元（U51型、U93型）

Ms型潜水艦の戦歴

合計46隻のMs型潜水艦が建造され、ドイツ帝国海軍に就役しました。

関連項目

Uボート
潜水艦
ドイツ海軍
U43型Uボート
戦時設計

外部リンク

uboat.net - WWI U-boat Types
* Photographs of the submarine SM U-54 in the years 1916–1918

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