N-35 (航空機)

N-35偵察機の概要

N-35は、中島飛行機が日本陸軍向けに試作した偵察機です。この機体は、社内では「ポテー式偵察機」と呼ばれていましたが、公式にはN-35として知られています。1925年8月、日本陸軍から新型偵察機の開発要求が出され、三社が競争試作に選ばれる中、中島は自社の甲式四型戦闘機の量産に忙しく、当初試作から外されました。

開発の経緯

その後、中島飛行機の所長である中島知久平は、試作からの除外に不服を感じ、自主的に新型偵察機の開発を決定しました。フランスからの技術者アンドレ・マリーやロバンの指導を受け、三竹忍技師が主導して設計と開発に着手しました。完成した試作機は1927年10月に初めて迎えられましたが、実際には2機の製作が計画されたものの、完成したのは1機だけでした。

初飛行とその後

1927年11月17日、完成したN-35は初飛行を行いましたが、エンジンに故障が発生し、不時着して大破するというアクシデントに見舞われました。この事故の際、乗員は軽傷を負いました。その後、競争試作の結果、川崎のKDA-2が制式採用されることになり、N-35は不採用となりました。機体は尾島飛行場の格納庫でしばらくの間放置される運命を辿りました。

機体の特徴

N-35は複座の複葉機で、木材と金属を組み合わせた骨組みが採用されていました。翼の設計はフランス製のブレゲー 19B-2を、胴体はポテーズ 25の設計を参考にしていました。搭載されるエンジンは、初期にはロレーヌ製W-12水冷W型12気筒エンジン（最大出力485hp）が予定されていましたが、完成時にはロレーヌ製W-18水冷W型18気筒エンジン（最大出力710hp）に変更されたのです。

諸元

さらに、N-35の技術仕様は以下の通りです：

• - 全長: 9.65メートル
• - 全幅: 16.45メートル
• - 主翼面積: 54.0平方メートル
• - 自重: 1,700キログラム
• - 全備重量: 2,950キログラム
• - エンジン: ロレーヌ W-18 水冷W型18気筒（最大710hp）×1
• - 最大速度: 230km/h
• - 実用上昇限度: 7,400メートル
• - 航続距離: 800キロメートル
• - 武装: 7.7mm固定機銃 × 2、7.7mm旋回機銃 × 1
• - 乗員: 2名

N-35は試作機としての意義はあったものの、実戦配備には至らなかったものの、航空機設計における新たな試みを示す存在として評価されています。

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