NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団

NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団は、1945年に創設されたドイツ・ハンブルクを拠点とするオーケストラです。旧称は北ドイツ放送交響楽団として知られています。

概要

このオーケストラは、北ドイツ放送（NDR）の放送オーケストラとしての役割を担っています。長年、ハンブルクのライスハレを本拠地としていましたが、2017年1月からはハーフェンシティに新設されたエルプフィルハーモニー・ハンブルクに拠点を移しました。この「エルプフィルハーモニー」という名称は、ハーフェンシティに面するエルベ川に由来しています。現在はアラン・ギルバートが首席指揮者を務めています。

旧称である「北ドイツ放送交響楽団」という名前も広く知られており、過去のレコーディング作品などではこの名前が使われていることもあります。

北ドイツ放送は、このNDRエルプフィルハーモニー管弦楽団の他に、ハノーファーにもハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団を所有しています。

歴史

第二次世界大戦後、旧西ドイツ各地でラジオ局（放送協会）が放送オーケストラを設立しましたが、北ドイツ放送交響楽団もその一つです。終戦直後の1945年、ハンス・シュミット＝イッセルシュテットのもとにイギリス軍将校が訪れ、ハンブルクの放送局でのオーケストラ創設を依頼したのが始まりです。当初は北西ドイツ放送交響楽団（NWDR-Sinfonieorchester）として設立され、後にケルン放送交響楽団が分離し、北ドイツ放送交響楽団となりました。シュミット＝イッセルシュテットは初代首席指揮者（1945年 - 1971年）に就任しました。

1951年には、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーが指揮台に立ち、地元ハンブルク出身のヨハネス・ブラームスの作品を演奏しました。この時の交響曲第1番は録音としても残されています。その他にも、ハンス・クナッパーツブッシュ、エーリヒ・クライバー、カール・シューリヒト、オットー・クレンペラー、カール・ベーム、フェレンツ・フリッチャイなどが指揮を務めました。

ブラームスの作品は、その後もオーケストラの重要なレパートリーとして演奏されており、シュミット＝イッセルシュテット、ヴァントの指揮による交響曲全集も存在します。

伝統的な作品に加え、現代音楽にも意欲的に取り組んでおり、ブルーノ・マデルナ、ピエール・ブーレーズ、クシシュトフ・ペンデレツキ、松下眞一らの作品を初演しています。

シュミット＝イッセルシュテットの後、1972年からはモーシェ・アツモンが首席指揮者を務め、1979年にはクラウス・テンシュテットが就任しますが、楽団との関係がうまくいかず、1981年に辞任します。その後、ギュンター・ヴァントが1982年から1991年まで首席指揮者を務めました。

ヴァントは、そのオーソドックスな演奏と人柄で楽団員の信頼を集め、退任後も名誉指揮者として客演を重ねました。ヴァントの後任には、ジョン・エリオット・ガーディナー（1991年 - 1994年）、ヘルベルト・ブロムシュテット（1995年 - 1997年）、クリストフ・エッシェンバッハ（1998年 - 2004年）、クリストフ・フォン・ドホナーニ（2004年 - 2011年）が首席指揮者を務めました。2011年からはトーマス・ヘンゲルブロックが首席指揮者、アラン・ギルバートが首席客演指揮者を務め、2015年からはクシシュトフ・ウルバンスキが首席客演指揮者に就任しました。

2017年1月にエルプフィルハーモニー・ハンブルクが開館し、本拠地を移転。同時に楽団名も「NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団」に改称しました。

歴代首席指揮者

ハンス・シュミット＝イッセルシュテット (1945年–1971年)
モーシェ・アツモン (1972年–1976年)
クラウス・テンシュテット (1979年–1981年)
ギュンター・ヴァント (1982年–1990年)
ジョン・エリオット・ガーディナー (1991年–1994年)
ヘルベルト・ブロムシュテット (1996年–1998年)
クリストフ・エッシェンバッハ (1998年–2004年)
クリストフ・フォン・ドホナーニ (2004年–2011年)
トーマス・ヘンゲルブロック (2011年–2018年)
アラン・ギルバート (2019年- )

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