NEC SX-Aurora TSUBASA

NEC SX-Aurora TSUBASA：革新的なベクトル型スーパーコンピュータ

NEC SX-Aurora TSUBASAは、日本のNEC株式会社が2017年に発表したベクトル型スーパーコンピュータシリーズです。従来のSXシリーズを継承しつつ、大胆な設計変更によって、高い性能と柔軟性を両立させた点が大きな特徴です。

従来モデルからの進化

SX-Aurora TSUBASAの最も革新的な点は、ベクトルエンジンをPCI Expressカードとして設計したことでしょう。これにより、システム構成の自由度が飛躍的に向上しました。従来のSXシリーズは大型の専用筐体にベクトルプロセッサを搭載していましたが、TSUBASAでは、x86サーバーをホストとして用い、ベクトルエンジンを必要に応じて追加できるモジュール式を採用しています。

さらに、オペレーティングシステムも従来のSUPER-UXからカスタム版Linuxに移行。これにより、システムの管理・運用が容易になり、ユーザーフレンドリーな環境を実現しています。最小構成では空冷方式のタワー型で提供されるなど、設置場所を選ばない柔軟さも魅力です。

高性能ベクトルエンジン

ベクトルエンジンは、1枚のPCI Expressカードに1つのプロセッサモジュールを搭載。このモジュールは、1つのプロセッサチップと6つのHBM2メモリチップで構成され、プロセッサチップには8つのベクトル演算コアが搭載されています。各コアは1.6GHzで動作し、高い演算性能を実現しています。

1枚のカードで2.45 TFLOPS（理論性能）と1.2TB/sのメモリ帯域を実現。システム構成は、空冷タワー型からラックマウント型、そして液冷ラック型まで多様なラインナップを用意し、ユーザーのニーズに合わせた柔軟なシステム構築を可能にしています。

継続的な進化と高性能化

2017年の発表以降、SX-Aurora TSUBASAは継続的に進化を遂げています。2019年には、動作周波数を向上させた上位モデルが発表され、さらに高い演算性能を実現。2020年には水冷式の高密度・高性能モデルが登場し、大規模データセンターへの導入も可能になりました。

これらの改良により、SX-Aurora TSUBASAは、常に最新の技術を取り入れ、性能向上を続けています。

導入事例と社会への貢献

SX-Aurora TSUBASAは、世界中の様々な機関で採用されています。ドイツ気象局の気象予測システム、高エネルギー加速器研究機構、国立環境研究所など、最先端の科学技術研究において、その高い演算性能と大規模シミュレーション能力が評価されています。

特に、2020年には次世代地球シミュレータへの採用が決定し、地球環境問題の研究に大きく貢献しています。これらの事例は、SX-Aurora TSUBASAが、社会の発展に貢献する重要な役割を担っていることを示しています。

まとめ

NEC SX-Aurora TSUBASAは、革新的な設計と高い性能、そして柔軟なシステム構成によって、スーパーコンピュータの世界に新たな地平を切り開きました。今後もその進化は続き、科学技術の発展に大きく貢献していくことは間違いありません。その高い信頼性と拡張性から、様々な分野での更なる活躍が期待されています。

もう一度検索