NH90 (航空機)

NH90について

NH90は、ヨーロッパの航空機メーカーであるNHインダストリーズ（NHI）が製造した軍用ヘリコプターです。このヘリコプターは、フランス、ドイツ、オランダ、イタリアの4カ国によって共同で開発され、北大西洋条約機構（NATO）の次期汎用ヘリコプターとして計画されました。各国が自国の企業を1社ずつ参加させる形で、フランスのアエロスパシアル、ドイツのDASA、オランダのフォッカー、イタリアのアグスタが出資し、NHインダストリーズが設立されました。いったんはイギリスもプロジェクトに参加する意向を示しましたが、後に脱退し、フランスとドイツの企業はその後ユーロコプターとして統合されました。

機体構成

NH90の設計段階において、陸軍用の戦術輸送型であるTTH90と、海軍向け艦載型であるNFH90の2つのモデルが同時に計画されました。NATO軍における標準的な汎用ヘリコプターとして、安全性、信頼性、整備性、実用性が重視されています。試作機として5機が製造され、初飛行は1995年から開始され、量産機は2004年に最初の飛行を行いました。量産機の引き渡しは2005年から始まり、NH90は現在も使用され続けています。

TTH型は、14名から20名の兵員を搭載可能で、全天候での低空飛行に対応しています。一方で、NFH型は長時間の航行が可能で、大型の兵装を搭載する能力があります。両モデルの性能が求められる現場での多様な任務に対応できるよう設計されています。

特徴

NH90のメインローターハブはチタニウム製で、4枚の複合材料製ブレードが付属しています。テイルローターは、ベアリングが不要な4枚ブレードを搭載し、NFH型では折り畳み機構が設けられています。また、4重のフライ・バイ・ワイヤによる操縦系統を備えており、自動操縦装置（AFCS）も搭載されているため、操縦士は任務に集中しやすい環境が整えられています。胴体には高い耐腐食性と耐衝撃性を持つ複合材料が使用されており、NBC兵器に対しても防御力があります。

コクピットは完全なグラスコックピット形式で、夜間視認機能を備えた照明や、戦術管制・通信システムが搭載されています。搭載エンジンは、チュルボメカ社、ロールス・ロイス社、MTUエアロ・エンジンズ社が共同で開発したRTM322ターボシャフトエンジンが搭載されていますが、他にもゼネラル・エレクトリック社製のT700-86E1エンジンの選択も可能です。

開発経緯

1980年代において、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダの5カ国で共同開発が決定され、アエロスパシアル社、DASA社、アグスタ社、フォッカー社が開発メーカーとなりました。しかし1987年にイギリスは別のモデルを選んだため、早々にプロジェクトから脱退しました。1992年にはNHインダストリー社が設立され、開発契約が結ばれ、2000年には量産合意が調印されました。

その後、NH90は参加4カ国に優先的に引き渡され、様々な国が次々と導入を決定しています。中でもフィンランド、オーストラリア、スウェーデンなどが採用しましたが、技術的な問題から一部の運用国では遅れが生じています。オーストラリアでは、2023年以降に新たにMH-60Rに転換する計画が進行中です。

主な仕様

• - 主回転翼直径: 16.30m
• - 全長: 19.56m
• - 空虚重量: 5.4t
• - 最大離陸重量: 10.6t
• - エンジン: RTM322ターボシャフト×2またはT700-86E1ターボシャフト×2
• - 最大速度: 約162kt

NH90は、兵員及び物資を安全かつ確実に輸送するため、各国の軍に幅広く対応している魅力的なヘリコプターです。

もう一度検索