NHKラジオ学校放送

NHKラジオ学校放送の歴史

NHKラジオ学校放送は、日本放送協会が提供する学校教育向けのラジオ番組の総称です。その歴史は古く、ラジオ放送の黎明期から教育番組が試行錯誤され、発展してきました。

学校放送前史

ラジオ放送が始まった当初、NHKでは社会教育の一環として子ども向けの教育番組を制作していました。例えば、『子供の時間』や『コドモの新聞』といった番組は、夕方に放送され、学校から帰宅した児童が自宅で聴くことを想定していました。しかし、ラジオの普及が進むにつれて、学校での教育活動にラジオを活用する要望が高まりました。

1930年代に入ると、第2放送が開始され、小学生向けの教育番組が試験的に放送されました。しかし、当初は放課後の時間帯に放送されていたため、学校の授業時間中に活用される学校放送はまだ実現していませんでした。その後、東京中央放送局では、小学校にラジオ受信機を提供し、試験的に学校放送を実施。尋常[[小学校]]高学年を対象に、「読本の読み方とお話」や「我等の歴史」といった番組が放送されました。しかし、全国的な本格的な学校放送は、まだ実現には至りませんでした。

大阪独自の学校放送

各放送局が独自に番組制作を行っていた当時、大阪中央放送局は、東京中央放送局と対抗し、第2放送を活用して本格的な学校放送を開始しようと計画しました。1933年9月、日本初の本格的な学校放送が大阪で開始されました。幼稚園や小学校低学年向けの番組が授業時間中に放送されたほか、ラジオ体操や音楽番組、高学年向けの学習番組などが放送されました。

教師向けのテキストも発行され、番組の活用をサポートしました。しかし、「教育放送」という名称が文部省を刺激するという意見が出たため、「教養講座通信」に改題されました。この背景には、ラジオ放送の教育番組に対する逓信省と文部省の管轄権問題があり、学校放送の全国的な本格実施が遅れた一因になっていました。

全国学校放送

1935年4月、全国的な学校放送が開始されました。第2放送ではなく、全国同時放送を実現するために第1放送で放送されました。これにより、日本全国の学校でラジオを活用した授業が展開されるようになりました。

国民学校放送

1941年、国民学校令の施行に伴い、学校放送も「国民学校放送」に改題されました。戦時色が強まり、番組内容も戦争を意識したものが多くなりました。文部省も学校放送を正式に教材として公認しました。しかし、戦況が悪化するにつれて、教師用テキストの発行が休止され、放送自体も休止せざるを得なくなりました。

終戦直後

終戦後、GHQの指導のもとで学校放送が再開されました。番組名から「国民」が外され、「ラジオ学校放送」として再出発しました。また、対象学年も変更され、中学校向けの番組も制作されるようになりました。

学制改革と第2放送への移行

1947年の学制改革により、小学校、中学校向けの番組が再編成されました。学校放送は急速に発展し、番組数と総放送時間が増加。NHKラジオ第1放送の一般番組の放送枠を圧迫するまでになったため、学校放送番組をNHKラジオ第2放送に移行する計画が進められました。

1953年4月、学校放送はNHKラジオ第2放送へ完全に移行しました。これにより、学校教育におけるラジオの活用がさらに促進されることになりました。

小学校の時間

1947年から2014年まで放送された小学校向けの番組枠です。国語、理科、社会、音楽、道徳など、幅広い教科に対応した番組が制作されました。特に、国語の朗読番組は長きにわたり親しまれました。

中学校の時間

1947年から1995年まで放送された中学校向けの番組枠です。小学校と同様に、国語、理科、社会、英語、音楽、道徳などの教科をカバーする番組が放送されました。特に、道徳番組は学校での利用率が高く、中学校向けラジオ番組の廃止まで放送されました。

ラジオクラブ

夏休みや冬休みなどの長期休暇期間中に放送された特別番組です。学校放送の再放送や、特別企画などが放送されました。

その他

『ひる休みのおくりもの』は、小中学校の昼食時に音楽を流す番組です。

PTAや教員向けの番組も制作され、『PTAの時間』、『家庭と学校』、『教育相談室』、『勉強のさせ方』、『教育時評』、『放送教育相談室』、『教育界の話題』など、様々な番組が放送されました。

NHKラジオ学校放送は、長年にわたり日本の学校教育を支え、多くの人々に親しまれてきました。ラジオ放送という特性を活かし、全国の学校で平等に教育機会を提供することに貢献しました。

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