NHK米子支局

NHK米子支局（エヌエイチケイよなごしきょく）は、鳥取県米子市に所在する、NHK鳥取放送局の傘下にある組織です。主に鳥取県の西部、かつての伯耆国にあたる地域を担当エリアとしています。

概要と歴史的変遷

この組織は、過去には独立した放送局として運営されていた歴史を持ちます。1954年 10月24日、「米子放送局」として活動を開始し、市内上後藤に設置された放送所からラジオ第1放送の送信業務を始めました。続いて1957年 12月20日には、同じく上後藤放送所からラジオ第2放送も開始しています。

テレビ放送に関しては、開局当初は米子局独自の送信設備はありませんでした。1959年10月28日に隣県のNHK松江放送局が枕木山からアナログ総合テレビの放送を開始すると、電波の特性上、本来のサービスエリア外である米子市周辺にも電波が届き、視聴可能な状態となりました。1962年 12月28日には、同様に松江局が枕木山からアナログ教育テレビの放送を開始し、米子地域でも受信が可能となりました。

米子独自のテレビ中継局が登場するのは1970年のことです。NHK鳥取放送局によって上後藤放送所にアナログ総合テレビの中継局が設置され、42チャンネル、映像出力30Wで放送を開始しました。しかし、多くの世帯が依然として松江局の枕木山にアンテナを向けていたため、この米子中継局の視聴者は限定的でした。

組織面では変革が進みました。1984年のNHKの組織再編に伴い、米子放送局に置かれていた制作部門が廃止されました。これにより、それまで常駐していたアナウンサーやディレクターなどが番組制作を行う体制は終了しました。さらに1988年 7月22日には、組織改革の一環として、米子放送局はその地位を支局へと変更しました。

放送設備の変更もありました。1998年 11月26日には、アナログ総合テレビの中継局が上後藤放送所から松江局の枕木山放送所に移転し、チャンネルは32ch、映像出力は1kWへと強化されました。これにより、米子エリア内の小規模なテレビ中継局も統合されました。この移転に際しては、視聴者が混乱なく移行できるよう、翌年1月までは旧設備と新設備からの同時放送（サイマル放送）が実施されました。アナログ放送が終了したのは2011年7月24日のことです。

施設の面でも大きな変化がありました。支局への格下げ後、それまで使用していた米子放送会館の土地と建物が売却の対象とされたため、新たな拠点が必要となりました。2009年 4月1日、NHKの組織改革に伴い米子放送会館を閉鎖し、隣接していたNTT西日本の使われなくなった建物を賃借する形で新たな場所へ移転しました。

現在の放送設備

現在の米子地域向けのNHK放送設備状況は以下の通りです。

テレビ放送（総合・教育）は、松江局の枕木山放送所から域外送信の形で提供されています。総合テレビは26ch、教育テレビは20ch、いずれも出力は100Wです。
AMラジオ放送（第1・第2）は、市内上後藤放送所から送信されています。ラジオ第1は963kHz、ラジオ第2は1521kHzで、出力はともに1kWです。現在はコールサインは使用されていません。
FM放送については、米子市内にNHKの送信所はありません。鳥取県内のリスナーは、日野（84.0MHz）や米子日南（85.3MHz）など、周辺の中継局を受信することになります。

特記事項

AMラジオ放送で使用されていたコールサイン、ラジオ第1の「JOLQ」とラジオ第2の「JOLZ」は、支局への降格後もしばらく維持されていましたが、2003年 11月1日をもって廃止されました。特に、ラジオ第2の旧コールサイン「JOLZ」は、後に新たな放送システムであるi-dioで使用されましたが、2020年3月末のサービス終了に伴い再び使用されなくなっています。
かつて上後藤放送所にアナログ総合テレビの中継局があった時代には、中波放送用の鉄塔の頂上部分にUHFテレビ放送用のアンテナが設置されるという、国内でも珍しい構造が見られました。
デジタルテレビ放送において、米子地域向けの電波が松江局の枕木山から送られているのは、枕木山が地理的に鳥取県側にも電波を送りやすい位置にあるためです。一方、NHK松江局のテレビ放送や山陰地方の民放各局は、島根県側に位置する澄水山から送信されています。

所在地

NHK米子支局の現在の所在地は、〒683-0812 鳥取県米子市角盤町1丁目76です。

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