NIL (アルバム)

the GazettEの8thアルバム『NIL』：バンドの転換期と新たなステージへ

2006年12月6日にリリースされたthe GazettEの8作目のアルバム『NIL』は、バンドのキャリアにおいて重要な位置を占める作品です。2枚目のフルアルバムとなる本作は、初回限定盤と通常盤の2種類が発売されました。初回限定盤には、ベロア素材の特殊パッケージにCDと2枚組のDVDが同梱され、通常盤はCDのみという構成です。

このアルバムは、the GazettEの新たな出発点を示唆するものでした。それまでのロゴマークから変更され、「大日本異端芸者」の表記が消え、バンド名は英語表記の「the GazettE」となりました。この変化は、バンドの音楽性や活動における方向性の転換を示唆するもので、今後の活動に大きな影響を与えました。

商業的な成功も著しく、『NIL』は発売初動でそれまでの最高売り上げの約2倍を記録し、最終的には約3倍近くにまで達しました。この驚異的なセールスは、the GazettEの人気が大きく高まっていることを証明しました。

アルバムに収録されている楽曲は多様性に富んでおり、その幅広い音楽性がthe GazettEの魅力を余すことなく伝えています。RUKI、葵、麗といったメンバーそれぞれの個性と才能が存分発揮された楽曲群は、聴く者の心を掴んで離しません。特に、「SHADOW VI II I」はアルバムのメイン楽曲としてPVも制作され、大きな注目を集めました。また、「SILLY GOD DISCO」と「体温」も後にPVが制作され、これらの楽曲はアルバムの人気度を高める一因となっています。

『NIL』発表後に行われた「Nameless Liberty,Six Guns...」ツアーは、当時としてはバンド最長のスタンディングライブツアーとなりました。そして、ツアーのファイナル公演は、バンドにとって初の日本武道館公演という歴史的瞬間となりました。この武道館公演の模様は、『Nameless Liberty Six Guns...FINAL-BUDOKAN-』というタイトルのDVDとして発売され、多くのファンに感動を与えました。

アルバム収録曲を詳しく見ていきましょう。SEである「THE END」から始まり、ヘヴィで攻撃的な楽曲からバラードまで、the GazettEの音楽性の幅広さが感じられます。「Nausea & Shudder」の歌詞には、後にツアータイトルにもなった「Nameless Liberty」という言葉が登場します。葵の12弦アコースティックギターが印象的なバラード「D.L.N」や、シャッフルリズムの効いた「生暖かい雨とざらついた情熱」など、多彩な楽曲が収録されています。また、「Maggots」では、現代の政治を痛烈に皮肉った歌詞が特徴的であり、REITAの不平不満を思わせるコーラスの裏声も印象的です。「バレッタ」はバラード調からテンポアップする展開、「SILLY GOD DISSCO」はタイトル通りディスコ調の楽曲と、聴きどころ満載です。「体温」は、暴力に苦しむ被害者をテーマにした重厚な楽曲となっています。

『NIL』は、単なるアルバムを超えた、the GazettEにとってのターニングポイントとなりました。商業的な成功だけでなく、音楽性の進化、そして新たなステージへの挑戦を示した、バンドのキャリアにおいて重要な作品と言えるでしょう。

もう一度検索