Nano-ITX

Nano-ITX（ナノ・アイティーエックス）は、VIA Technologies（以下、VIA）が開発し提唱しているマザーボードのフォームファクタの一つです。その最大の特徴は、Mini-ITXよりもさらに小型化されたサイズにあります。具体的には、マザーボードの寸法が12cm × 12cmという極めてコンパクトな設計となっています。この小型化により、省スペースな組み込みシステムや、小型PCの構築に適しています。

Mini-ITXと比較すると、Nano-ITXはさらに小型であるため、搭載できる拡張スロットやインターフェースの数も限られます。そのため、高度な拡張性を求める用途には不向きですが、シンプルで省電力なシステムを構築する際には有効な選択肢となります。

また、Mini-ITXが様々なメーカーから販売されているのに対し、Nano-ITXは基本的にVIAのみがマザーボードを製造・販売しています。これは、Nano-ITXがVIA独自の規格であり、他のメーカーが積極的に参入していないことが理由として挙げられます。

なお、VIAが開発しているCPUブランドである「VIA nano」とは、開発元が同じであるという共通点を除けば、直接的な関連性はありません。Nano-ITXマザーボードに必ずしもVIA nanoが搭載されているわけではありませんし、VIA nanoが搭載されたマザーボードが全てNano-ITX規格というわけでもありません。両者はあくまで別の概念であり、混同しないように注意が必要です。

Nano-ITXは、その小型サイズから産業用組み込みシステムや、デジタルサイネージ、POS端末、あるいは小型PCなど、様々な分野で利用されています。省スペースでありながら、十分な性能を持つシステムを構築できるため、限られた空間での利用や、省電力性が求められる用途において、その価値を発揮しています。

関連事項として、VIA EPIA、Mini-ITX、Pico-ITXといった、他のVIA製品や関連するマザーボード規格も存在します。これらの規格もそれぞれ異なる特徴を持っており、用途に応じて最適なものを選ぶことが重要です。

関連事項

VIA EPIA: VIAがかつて展開していた、組み込み向けマザーボードシリーズです。Nano-ITXよりも古い世代の製品が含まれており、様々なフォームファクタが存在します。
Mini-ITX: Nano-ITXより一回り大きい、17cm × 17cmのサイズのマザーボード規格です。拡張性も高く、自作PCの分野でも広く利用されています。
Pico-ITX: Nano-ITXよりもさらに小型な、10cm x 7.2cmのマザーボード規格です。非常に小型なため、さらに用途が限定されます。

外部リンク

VIA Technologies, Inc.:
Nano-ITXを開発・提唱しているVIA Technologiesの公式サイトです。
* VIAマザーボード:
VIA製マザーボードに関する情報が掲載されています。

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