VIA Technologies
VIA Technologies（威盛電子）は、台湾の新北市に本社を置く半導体メーカーです。主にPC/AT互換機|PC_AT互換機向けのチップセットと、x86互換マイクロプロセッサの開発・設計でその名を知られています。台湾証券取引所に上場しており、その技術力と革新性で業界に貢献しています。
1992年9月、陳文琦と王雪紅によって設立されました。王雪紅の父親は、台湾プラスチックグループの創業者である王永慶です。設立当初から、VIAは技術革新に重点を置き、成長を遂げてきました。
1999年、VIAはナショナル セミコンダクターから子会社のサイリックスを買収し、さらにIDTから傘下のセントールテクノロジーを買収しました。この戦略的な買収により、マイクロプロセッサ市場への本格的な参入を果たしました。2000年には、グラフィックスチップメーカーのS3からグラフィックス部門を買い取り、さらにICEnsembleを買収することで、サウンド関連の技術も獲得しました。
2007年には、チップセット部門をプロセッサ部門と統合し、より効率的な運営体制を構築しました。しかし、2008年1月には、サードパーティー向けのチップセット開発からの撤退を表明し、以降は自社プロセッサ専用のチップセット開発に注力することになりました。2011年7月には、グラフィックス部門のS3 Graphicsをグループ企業のHTCへ売却し、事業の再編を進めました。
VIAは、かつて低価格を武器に、Socket 7用のApollo VPシリーズや、Slot 1/Socket 370用のApollo Proシリーズで、インテル純正チップセットに対抗し、一定の成功を収めました。特にAMDが自社プラットフォームを強化するため、互換チップセットベンダーの育成を図ったことが、VIAがAMD用チップセット市場で大手となるきっかけとなりました。NVIDIAとは多機能チップセットの開発で激しい競争を繰り広げましたが、KT/Pro266以降の製品では、「V-LINKバス」と呼ばれる独自の技術を用いてノースブリッジとサウスブリッジ間を高速に接続していました。S3のグラフィックス技術を組み込んだ統合チップセットは、多くのメーカー製PCに採用され、広く普及しました。
VIAのチップセットは安定性に定評がありましたが、かつては相性問題も抱えていました。特にAGPビデオカードとの相性問題が多く、これはVIAだけでなく、SiSやALiといった他のサードパーティーメーカーにも共通する問題でした。この問題は、AGP規格がインテルによって公的な規格として十分に管理されていなかったこと、そして初期のAGPがWindows 9x系のような不安定なOS環境で使用されていたことも影響しています。また、サウスブリッジのIDEコントローラに不具合がある製品も存在し、古いマザーボードを使用する際には注意が必要でした。
新しいチップセットでも、サウスブリッジのVT8237RとHGST製のSATA-II対応HDDとの組み合わせで認識しない事例や、シリアルRAIDコントローラーのVT6421とWD製の1.0TB以上のHDDとの組み合わせで読み書き速度が低下する事例も報告されています。
VIAは、x86互換プロセッサとして、C3とその後継であるC7を開発しました。C3は、IDT/CentaurのWinChipシリーズをベースに、P6バス互換にしたもので、低価格、低発熱、低消費電力が特徴です。当初は『CyrixIII』という名称を使用していました。VIAがCyrixブランドを使用した背景には、元サイリックスの技術者がVIAを離れた後も、サイリックスのブランド力とナショナル セミコンダクターの特許を活用したかったという説があります。しかし、VIAはコンパックやIBMのPCでの採用実績から『Cyrix』ブランドの知名度をアピールする戦略だったとしています。
性能面では競合他社製品に劣るものの、その安価さから発展途上の地域で多く販売されています。日本国内では、省電力・低発熱という利点から、産業用ロボット、自動車、ハードディスクビデオレコーダなどの組み込み市場や、静音PC向けのプロセッサとして一部の自作パソコンユーザーに人気がありました。2005年5月にはC7が発表されましたが、Intelとのライセンスの一部が失効したため、NetBurst互換のプロセッサバス機能は削除されました。その後、C7をマルチコア化したC8の開発計画も示唆されました。2008年1月には、x86-64互換プロセッサであるVIA Nanoを発表し、同年3月にウルトラモバイルPC向けに出荷されました。これはVIA製x86互換プロセッサとして初めてアウト・オブ・オーダー実行機構を搭載し、C7比で最大4倍の性能向上を達成しました。
VIAは、Mini-ITXやNano-ITXといった小型マザーボードの規格を提唱し、C3を搭載した製品も販売しています。また、買収したICEnsemble社のEnvyシリーズのサウンドコントローラは、ローエンドからプロ用まで幅広いラインナップを揃え、PC向けサウンドカードや各種音響機器で広く採用されています。LANチップ、USBホストコントローラーチップ、IEEE 1394コントローラーチップも自社で製造しており、1000BASE-T対応のVT6122は、安価でありながら低発熱・安定性に優れています。これらの製品は、バッファロー、玄人志向、アイ・オー・データ機器などの大手周辺機器メーカーで広く採用されています。特にUSBコントローラーチップは、NECと並んで多くの採用実績があります。2008年6月には、HPの初のネットブックであるHP2133 Mini-NotePCにC7-M ULVプロセッサが採用されました。2010年1月には、世界初のUSB 3.0対応Hubコントローラである「VIA VL810」を発表し、ストレージベンダーでの採用が開始されました。
VIAは、自社製チップセットやプロセッサのシェアを浸食したインテルから、特許とライセンスを盾にした訴訟攻勢を受けたことがあります。その対策として、買収したサイリックスの元親会社であるナショナル セミコンダクターのロゴマークをマーキングした製品も存在しました。その後、インテルとはクロスライセンスを締結し、和解しています。
VIAは、技術革新と市場の変化に対応しながら、半導体業界において独自の地位を築いてきました。その歴史と製品は、PC業界の発展に大きな影響を与え続けています。
歴史
1992年9月、陳文琦と王雪紅によって設立されました。王雪紅の父親は、台湾プラスチックグループの創業者である王永慶です。設立当初から、VIAは技術革新に重点を置き、成長を遂げてきました。
1999年、VIAはナショナル セミコンダクターから子会社のサイリックスを買収し、さらにIDTから傘下のセントールテクノロジーを買収しました。この戦略的な買収により、マイクロプロセッサ市場への本格的な参入を果たしました。2000年には、グラフィックスチップメーカーのS3からグラフィックス部門を買い取り、さらにICEnsembleを買収することで、サウンド関連の技術も獲得しました。
2007年には、チップセット部門をプロセッサ部門と統合し、より効率的な運営体制を構築しました。しかし、2008年1月には、サードパーティー向けのチップセット開発からの撤退を表明し、以降は自社プロセッサ専用のチップセット開発に注力することになりました。2011年7月には、グラフィックス部門のS3 Graphicsをグループ企業のHTCへ売却し、事業の再編を進めました。
チップセット
VIAは、かつて低価格を武器に、Socket 7用のApollo VPシリーズや、Slot 1/Socket 370用のApollo Proシリーズで、インテル純正チップセットに対抗し、一定の成功を収めました。特にAMDが自社プラットフォームを強化するため、互換チップセットベンダーの育成を図ったことが、VIAがAMD用チップセット市場で大手となるきっかけとなりました。NVIDIAとは多機能チップセットの開発で激しい競争を繰り広げましたが、KT/Pro266以降の製品では、「V-LINKバス」と呼ばれる独自の技術を用いてノースブリッジとサウスブリッジ間を高速に接続していました。S3のグラフィックス技術を組み込んだ統合チップセットは、多くのメーカー製PCに採用され、広く普及しました。
VIAのチップセットは安定性に定評がありましたが、かつては相性問題も抱えていました。特にAGPビデオカードとの相性問題が多く、これはVIAだけでなく、SiSやALiといった他のサードパーティーメーカーにも共通する問題でした。この問題は、AGP規格がインテルによって公的な規格として十分に管理されていなかったこと、そして初期のAGPがWindows 9x系のような不安定なOS環境で使用されていたことも影響しています。また、サウスブリッジのIDEコントローラに不具合がある製品も存在し、古いマザーボードを使用する際には注意が必要でした。
新しいチップセットでも、サウスブリッジのVT8237RとHGST製のSATA-II対応HDDとの組み合わせで認識しない事例や、シリアルRAIDコントローラーのVT6421とWD製の1.0TB以上のHDDとの組み合わせで読み書き速度が低下する事例も報告されています。
マイクロプロセッサ
VIAは、x86互換プロセッサとして、C3とその後継であるC7を開発しました。C3は、IDT/CentaurのWinChipシリーズをベースに、P6バス互換にしたもので、低価格、低発熱、低消費電力が特徴です。当初は『CyrixIII』という名称を使用していました。VIAがCyrixブランドを使用した背景には、元サイリックスの技術者がVIAを離れた後も、サイリックスのブランド力とナショナル セミコンダクターの特許を活用したかったという説があります。しかし、VIAはコンパックやIBMのPCでの採用実績から『Cyrix』ブランドの知名度をアピールする戦略だったとしています。
性能面では競合他社製品に劣るものの、その安価さから発展途上の地域で多く販売されています。日本国内では、省電力・低発熱という利点から、産業用ロボット、自動車、ハードディスクビデオレコーダなどの組み込み市場や、静音PC向けのプロセッサとして一部の自作パソコンユーザーに人気がありました。2005年5月にはC7が発表されましたが、Intelとのライセンスの一部が失効したため、NetBurst互換のプロセッサバス機能は削除されました。その後、C7をマルチコア化したC8の開発計画も示唆されました。2008年1月には、x86-64互換プロセッサであるVIA Nanoを発表し、同年3月にウルトラモバイルPC向けに出荷されました。これはVIA製x86互換プロセッサとして初めてアウト・オブ・オーダー実行機構を搭載し、C7比で最大4倍の性能向上を達成しました。
その他の製品
VIAは、Mini-ITXやNano-ITXといった小型マザーボードの規格を提唱し、C3を搭載した製品も販売しています。また、買収したICEnsemble社のEnvyシリーズのサウンドコントローラは、ローエンドからプロ用まで幅広いラインナップを揃え、PC向けサウンドカードや各種音響機器で広く採用されています。LANチップ、USBホストコントローラーチップ、IEEE 1394コントローラーチップも自社で製造しており、1000BASE-T対応のVT6122は、安価でありながら低発熱・安定性に優れています。これらの製品は、バッファロー、玄人志向、アイ・オー・データ機器などの大手周辺機器メーカーで広く採用されています。特にUSBコントローラーチップは、NECと並んで多くの採用実績があります。2008年6月には、HPの初のネットブックであるHP2133 Mini-NotePCにC7-M ULVプロセッサが採用されました。2010年1月には、世界初のUSB 3.0対応Hubコントローラである「VIA VL810」を発表し、ストレージベンダーでの採用が開始されました。
インテルとの確執
VIAは、自社製チップセットやプロセッサのシェアを浸食したインテルから、特許とライセンスを盾にした訴訟攻勢を受けたことがあります。その対策として、買収したサイリックスの元親会社であるナショナル セミコンダクターのロゴマークをマーキングした製品も存在しました。その後、インテルとはクロスライセンスを締結し、和解しています。
VIAは、技術革新と市場の変化に対応しながら、半導体業界において独自の地位を築いてきました。その歴史と製品は、PC業界の発展に大きな影響を与え続けています。
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