Mini-ITX

Mini-ITXは、台湾のVIA Technologies社によって開発されたマザーボードのフォームファクタ（規格）です。その最大の特徴は、わずか17センチメートル四方という非常にコンパクトなサイズにあります。これは、MicroATXやFlexATXといった他の小型ATX規格と比較しても、さらに小さいサイズです。さらに、より小型な規格として、12センチメートル四方のNano-ITXや、10cm×7.2cmのPico-ITXも存在します。

Mini-ITXは、2001年11月6日に発表されました。当初は、組み込みシステムでの利用を想定して設計され、VIA製のEdenやEPIA（C3）シリーズなどが主な製品でした。しかし、その後、インテルやAMDのCPUに対応した製品も少数ながら登場しました。2008年6月には、インテルがAtomを搭載したMini-ITXマザーボードを発売し、これを契機に、各社が同様のCPUオンボードのマザーボードを販売するようになりました。さらに、デスクトップ向けのCPUソケットを搭載したモデルも登場し、現在では、ゲーミングモデルのMini-ITXマザーボードやMini-ITX専用のPCケースも販売され、1つのマザーボード規格として確立しています。

自作PCにおいては、チップセットやCPU内蔵のグラフィック機能を活用することで、省スペースパソコンやホームシアターパソコン(HTPC)を構築するのに適しています。しかし、Mini-ITXマザーボードの中には、PCI-Express×16スロットを搭載しているモデルも多く、専用ケースの中には、本格的なビデオカードを搭載できるモデルも存在します。また、CPU直付けタイプのモデルでは、ノートPC向けの熱設計電力(TDP)が小さいCPUが搭載されていることが多く、強力な冷却ファンを必要としない傾向があります。デスクトップ向けのCPUと比較すると性能が低い場合がありますが、インターネットやメール、ビジネス用途であれば十分な性能を発揮します。

Mini-ITXは、省スペースを重視したマザーボード規格であるため、拡張スロットは1～2本程度しか搭載されていません。また、メモリもノートPC用のSO-DIMMを使用するモデルがあるなど、マザーボードやケースに制約がある場合が多く、ATXやMicroATXと比較すると、組み立てにはより注意と技術が必要です。しかし、そのコンパクトさから、設置場所を選ばないという大きなメリットがあります。Mini-ITXは、単に小型なだけでなく、その多様性から、幅広いユーザーに支持されています。省スペースPCから、ハイエンドゲーミングPCまで、Mini-ITXの可能性は、今後もさらに広がっていくでしょう。

関連項目
マザーボードの規格
ATX
BTX
DTX
ION (NVIDIA ION)
静音パソコン
VIA Technologies
Intel Atom

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