New Tune

アルバム『New Tune』の概要

『New Tune』（ニュー・チューン）は、チューリップの通算16枚目となるアルバムで、1985年1月19日にリリースされました。このアルバムは、前年秋から続くツアー「Out of Our Time」の最終日に合せて発売され、バンドの第2期メンバーとしての最後の活動を象徴しています。

アルバムの特色

本作は、前作に比べて宇宙的な要素が薄れ、バンド内のまとまりも弱まっていたため、メンバー各自が持ち寄った楽曲を収録したいわばチューリップ版の「ホワイトアルバム」と言える仕上がりとなっています。アルバム全体にはシンセサイザーなどのデジタル機材を駆使した重厚なアレンジが施されており、特に財津和夫の力強い地声を活かしたボーカルが光る一枚です。そのため聴く人によって評価が分かれる作品となっています。

又、同アルバムはプロデューサー・新田和長が東芝EMIから独立後、初めて手掛けた作品であり、彼のプロデューサーとしての役割の終焉を意味する重要な作品でもあります。このこともあってか、次作『I Like Party』では第3期のメンバーや外部ミュージシャンが多く参加したため、その前の作品が実質的に第2期最後のアルバムと見なされることが多いです。

ジャケットデザインと同封物

アルバムには、歌詞カードの他に、編集長の大越正実からのコメントが掲載されたリーフレットやオリジナルのシールが添付されています。ジャケットのイラストは、金属色の裸の女性の周囲を光と炎が舞うビジュアルで、プログレッシブ・ロックやヘヴィメタルのジャケットに通じる印象を与えています。これにより、本作はチューリップのアルバムの中でも特に異色な存在感を持つことになりました。

収録曲

アルバムは大きく二つの面に分かれており、各曲は財津和夫を中心に様々なメンバーが関わっています。

SIDE A

1. 春がくるくる
作詞・作曲：財津和夫, 編曲：チューリップ, ボーカル：財津和夫

2. もっと幸せに素直になれたら
作詞・作曲：財津和夫, 編曲：チューリップ, ボーカル：財津和夫

3. 黒い髪のリサ
作詞・作曲：財津和夫, 編曲：チューリップ, ボーカル：財津和夫

4. ふたつめのクリスマス
作詞・作曲：財津和夫, 編曲：チューリップ, ボーカル：財津和夫

5. ロベリア
作詞・作曲：財津和夫, 編曲：チューリップ, ボーカル：財津和夫

SIDE B

1. Route 134
作詞・作曲：宮城伸一郎, 編曲：チューリップ, ボーカル：宮城伸一郎

2. 光の花
作詞：財津和夫, 作曲：姫野達也, 編曲：チューリップ, ボーカル：姫野達也

3. ロボットの心
作詞：財津和夫, 作曲：伊藤カオル, 編曲：チューリップ, ボーカル：伊藤薫

4. そんな男になれたら
作詞・作曲：財津和夫, 編曲：チューリップ, ボーカル：財津和夫

5. OUR SONG
作詞・作曲：財津和夫, 編曲：チューリップ, ボーカル：財津和夫

結論

このように『New Tune』は、メンバー間の変化や音楽的な探求の過程が垣間見える作品であり、チューリップの活動の新たなステージへの移行を示していると言えるでしょう。一方で、解散前の最後のアルバムとしての重要性も持っています。特に安部俊幸がこのアルバムには一切楽曲を提供していないことから、彼が抱えていた心理的な変化も感じ取ることができます。再結成後のライブで唯一取り上げられた曲でもあり、ファンにとっては特別な意義を持つアルバムです。

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