NiD 29 (航空機)

ニューポール・ドラージュ NiD 29

ニューポール・ドラージュ NiD 29（Nieuport-Delage NiD 29）は、フランス空軍向けにニューポール・ドラージュ社が設計した単座複葉戦闘機です。この機体は日本でもライセンス生産され、甲式四型戦闘機として大日本帝国陸軍に配備されました。

設計と開発

NiD 29はその設計において、合板モノコック構造を取り入れており、これは薄くスライスした木材を接着して立体的な構造を形成する手法です。この機体は上下の翼を等しい幅にしており、両翼に補助翼も装備しています。また、固定脚と尾橇式の降着装置を採用し、操縦士のための開放式コックピットが特徴です。

1918年8月21日に試作機が初飛行し、イスパノ・スイザ HS-8Fbエンジンが搭載されましたが、当初の上昇限度は期待に応えられませんでした。そこで二機目の試作機では翼幅を伸ばし、無事に要求された上昇限度を達成したため、1920年に正式生産が決定しました。量産型では上翼の補助翼が廃止され、下翼の補助翼が大きくなってしました。1922年にフランス空軍に初めて配備されると、全体的に好評を得ました。

フランス軍は250機を調達し、他の7つの企業でも生産が進められました。NiD 29は、1920年代の主要な戦闘機として広く採用され、特にスペインやベルギー、イタリアでも数多くの機体が購入されました。イタリア空軍では175機の中で95機がマッキ社によって製作され、スウェーデンでは9機が「J 2」と名付けられました。さらに、レース機仕様も開発され、複数の世界速度記録を達成しました。

甲式四型戦闘機

日本においては、初めて110機が輸入された後、ライセンス生産が許可され、中島飛行機が国産初号機を1923年12月に初飛行させました。最終的には608機が甲式四型戦闘機として生産され、そのうち46機は陸軍砲兵工廠が製造しました。この戦闘機は日本陸軍で初めて7.7 mm機関銃を二挺装備し、満州事変当時の主力戦闘機として活躍しましたが、実戦経験はほとんどありませんでした。

運用歴

戦闘機としては多くの国の軍に採用された本機ですが、フランスでは小型爆弾を搭載するための改修機も使用され、モロッコにおける反乱鎮圧作戦でも活躍しました。また、スペインの北アフリカでも同様の任務に従事しました。

派生型

NyD 29には多様な派生型が存在し、以下のようなバリエーションがあります:

• - NiD 29 - 純粋な生産型
• - NiD 29 C.1 - 別の名称で呼ばれるよう変更されたタイプ
• - NiD 29 B.1 - 攻撃機型で、10kg爆弾を6発搭載可能
• - NiD 29 bis - 翼面積を小さくした試作機
• - NiD 29 D - 高度記録を挑戦するための過給機型
• - NiD 29 SHV - 水上機型で、シンプルなデザイン
• - 中島甲式四型戦闘機 - 日本のライセンス生産型

性能諸元

NiD 29

• - 乗員: 1
• - 全長: 6.49 m
• - 翼幅: 9.70 m
• - 空虚重量: 760 kg
• - 最大速度: 235 km/h
• - 武装: 7.7 mmの機関銃を2丁装備

中島甲式四型戦闘機

• - 乗員: 1
• - 全長: 6.44 m
• - 空虚重量: 850 kg
• - 最大速度: 232 km/h

このように、ニューポール・ドラージュ NiD 29はその設計技術においても、国際的な活躍においても重要な意義を持つ戦闘機でした。

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