NuSTAR

NuSTAR (Nuclear Spectroscopic Telescope Array)

NuSTARは、宇宙で発生する高エネルギーX線を観測するために設計された先進的なX線宇宙望遠鏡です。この望遠鏡は、特にブラックホールや超新星残骸の研究に注力しており、NASAのSMEX（Small Explorer）計画の一環として打ち上げられました。

機能と目的

NuSTARは、5から80keVのエネルギー範囲をカバーし、チャンドラやXMM-Newtonを上回るエネルギーのX線を観測することができます。この宇宙望遠鏡の最大の目的は、重いブラックホールの詳細な観測と超新星残骸の画像撮影を通じて、活動する銀河核内での粒子加速のメカニズムや、重い恒星の爆発による重元素生成の仕組みを解き明かすことです。

歴史

NuSTARに先立つ段階では、High Energy Focusing Telescope（HEFT）が開発されていましたが、このプロジェクトは気球で望遠鏡を運搬することを目指していました。2003年、NASAはExplorer Program Announcement of Opportunityを発表し、NuSTARはSMEXの候補として選ばれました。2005年には、さらに継続的な実現可能性試験に選定されましたが、2006年にNASAの予算削減により一時中止されました。その後、プロジェクトは再始動し、最終的に2012年6月に打ち上げられました。

打上げ

NuSTARは、オービタル・サイエンシズ社によってペガサスXLロケットで打ち上げられました。初めは2012年3月21日を予定していましたが、打ち上げ機のソフトウェア不具合により数度延期され、最終的に成功したのは同年の6月13日です。この時、10メートルのマストが展開され、光学機器の効率的な運用が確認されました。

光学機器

NuSTARは、133個ずつの同心円殻からなる2つの光学機器を搭載しています。多層コーティングが施されたこれらの光学機器は、79 keVまでのエネルギーで非常に高い反射率を持っています。各光学機器の鏡は、合計4680枚が使用されており、それぞれに5つのスペーサーが設けられています。焦点距離は10.15mで、レーザーによる測距装置を用いて常に高精度な位置を保つ仕組みが採用されています。

観測成果

2013年には、NuSTARとXMM-Newtonを使った観測により、超大質量ブラックホールNGC 1365の自転速度の測定に成功しました。また、2014年には、カシオペヤ座Aの超新星が非対称に爆発したことが確認され、従来の理論を超える新たな知見が得られました。

関連項目

• - ひとみ
• - ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡

NuSTARは、将来の宇宙研究に対しても多くの期待を寄せられており、宇宙における高エネルギー現象の理解を深める重要な役割を果たしています。

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