O・O・モローゾウ記念ハルキウ機械製造設計局

O.O.モローゾウ記念ハルキウ機械製造設計局の概要

O.O.モローゾウ記念ハルキウ機械製造設計局（略称：KMDB）は、ウクライナのハルキウに位置する国営企業です。この会社は、T-80やT-84などの主力戦車及び主発動機の設計を手掛けています。また、モロゾフ設計局としても知られ、ソ連時代から主力戦車および装甲車両の開発を行ってきました。特にBT戦車シリーズやT-34、T-55、T-64などの開発は、同社が肩を並べて行った重要なプロジェクトです。現状、KMDBは国営企業ウクロボロンプロムの傘下に属しています。

歴史

この設計局の起源は1927年にさかのぼります。ハルキウ機関車工場の戦車設計部門としてスタートし、初期にはT-12やT-24といった軽戦車の生産に従事していました。1930年代には独立した設計局へと発展し、BT戦車シリーズに関するさまざまな活動を行いました。

1936年には工場が再編成され、T-35重戦車などの少量生産も行われるようになりました。その後、BT戦車の後継車両の設計が行われ、特にミハイル・コーシュキンの下でT-34が開発されました。この戦車は第二次世界大戦中に最も生産された戦車の一つとなりました。1941年のドイツ軍による侵攻を受けて設計局はウラル地域に疎開を余儀なくされ、その結果、工場は戦後もウクライナでの生産を継続することになります。

戦後、モロゾフが主導してT-54やT-55の開発が進められ、さらに次世代主力戦車T-64の開発も始まりました。1957年に工場は改名され、戦車エンジンの組み立ても手掛けるようになります。また、1960年代にはOT-54、OT-55火炎放射器戦車の設計も行いました。

生産実績と技術

ソビエト連邦崩壊後、KMDBはウクライナにおける主力戦車設計と製造の中心的存在となりましたが、依然としてロシアの部品供給に依存していました。1996年にはウクライナとパキスタン間で320台のT-80UD戦車に関する契約が結ばれましたが、政治的要因で供給が困難になる事態も発生しました。最終的に契約は1999年に完了し、製造能力も増強されました。

また、KMDBはパキスタンにアル・ハリド戦車用の動力装置を提供し、その改良にも協力しました。新型戦車T-84は、1999年にウクライナ軍に採用され、2001年には改良型オプロートも登場しました。この戦車は国際的にも注目され、他国の火器管制システムと接続可能な設計が施されています。

さらに、KMDBは軍用トラクターの製造や、訓練用具及びシミュレータの提供、過去のソ連の戦車や装甲車両の改良パッケージを手掛けています。特筆すべきは、KMDBが生産する3気筒から6気筒のディーゼルエンジンで、これは特殊車両やモーターボートなど様々な用途で利用されています。

このように、O.O.モローゾウ記念ハルキウ機械製造設計局は、戦車開発の分野で豊富な歴史を持ち、様々なモデルの設計と生産を行い続けている企業です。

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