AMPV

AMPV (Armored Multi-Purpose Vehicle) ：アメリカ陸軍の次世代装甲車

AMPV（装甲多用途車両）は、老朽化したM113装甲兵員輸送車とその派生型を置き換えるために、アメリカ陸軍が開発した装軌式の装甲戦闘車両です。BAEシステムズによって開発され、M2A3ブラッドレー歩兵戦闘車のコンポーネントを基盤としています。

開発の経緯と導入

アメリカ陸軍は、M113A3を更新するために、5つの異なる派生型で構成されるAMPVを2,907両調達する計画を2013年に発表しました。最初の車両（指揮車両型）は2020年8月31日にアメリカ陸軍に納入されました。2022年1月には、最初のバッチが第3歩兵師団第2旅団にテスト用として納入され、同年6月には第3歩兵師団第69機甲連隊に最初のAMPVが配備されました。2023年3月13日には、第3歩兵旅団第1機甲旅団にもAMPVが配備され、同年9月には、アメリカ陸軍が今後20年間で3,000両のAMPVを調達する計画を発表しました。

設計

AMPVは、砲塔を搭載しないM2A3ブラッドレーの車体をベースにしており、M113A3と比較して車内容積が大幅に増加しています（約78%増）。

防御力

M113装甲兵員輸送車よりも大幅に防御力が向上しており、車体はアルミニウム合金装甲に加えて、増加装甲や爆発反応装甲を追加することが可能です。これにより、車体正面は30mm機関砲弾、全周は14.5mm重機関銃弾に対する防御能力を持つとされています。また、車体底部はV字型となっており、IED（即席爆発装置）や地雷に対する高い防御力を備えています。

輸送能力

兵員輸送数はM113装甲兵員輸送車と比較して11名から6名に減少していますが、これは敵の攻撃や地雷によって車両が破壊された場合の死傷者数を軽減することを目的としています。

共通性

車体はM2A3やM109A7自走榴弾砲と共通のコンポーネントを使用しており、M2ブラッドレーの車体をAMPVに換装することも可能です。

各型式

M1283装甲兵員輸送車: M113A3を置き換える装甲兵員輸送車型。2名の乗員と6名の兵員を輸送可能です。
M1284野戦救急車: M113AMEVの後継となる野戦救急車型。3名の乗員と最大4つのストレッチャーを輸送でき、車内には医療機器も備え付けられています。
M1285医療車両: M577A3を置き換える医療車両型。4名の乗員と1つのストレッチャーを輸送し、M1284と同様に車内に医療機器を備えています。
M1286指揮車両: M1068A3を置き換える指揮車両型。2名の乗員と2名のオペレーターが搭乗し、車体にはRWS（リモートウェポンステーション）が備え付けられています。
M1287自走迫撃砲: M1064A3を置き換える自走迫撃砲型。4名の乗員が搭乗し、120mm迫撃砲弾を69発輸送できます。

関連項目

装甲車
装甲兵員輸送車
M2ブラッドレー歩兵戦闘車
M109A7 155mm自走榴弾砲

外部リンク

MilitaryToday.com - AMPV
ArmyRecognition.com - AMPV
ウィキメディア・コモンズ - AMPV

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