OH-6 (航空機)

OH-6の概要

OH-6は、アメリカの航空機メーカーであるヒューズ・ヘリコプターズ社が設計した小型ヘリコプターです。この機体はアメリカ陸軍で「カイユース」として知られています。また、その独特な形状から「フライングエッグ」や「ローチ」とも呼ばれています。特にそのデザインは、軽量で機動性に優れ、多様な任務を遂行できるように設計されています。

来歴

1960年代初め、アメリカ陸軍は回転翼機の可能性を追求し始めました。「空中騎兵」という戦略の一部として、軽観測ヘリコプター（LOH）の導入が検討され、様々な任務に応じた性能を求められました。この背景には、観測機能に加え、兵員や物資の輸送、軽地上攻撃、負傷者の輸送など多岐にわたる任務が含まれています。

1961年、12社からの提案が寄せられ、その中でヒューズ社のモデル369が選定されました。初飛行は1963年で、1964年にはFAAから民間認証を獲得します。その後、価格競争の結果、ヒューズ社は714機を受注しました。

設計と性能

ヒューズが開発したOH-6は、アメリカ陸軍の要求に応じた性能を持つことが特徴です。必要なペイロードは400ポンド（約180kg）、巡航速度は110ノット（約200km/h）で、滞空時間は3時間以上とされ、地面効果外のホバリング限度は6,000フィート（約1,800m）以上が求められました。これに応えて、ヒューズ社は革新的なデザインを盛り込んだモデルを設計しました。

このヘリコプターは雨滴型の胴体を持ち、セミ・モノコック構造を採用しており、外板は軽量なアルミ製でありながらも頑丈です。降着装置はスキッド式で、地上での取り扱いや移動にも配慮がされています。武装としては、左右に各種機関銃を搭載可能で、様々な戦闘任務に対応しています。

動力系統

OH-6の動力は、アリソン社製のT63ターボシャフトエンジンを使用しています。このエンジンは、地上での整備が容易な設計であり、機体の後部に適切な角度で取り付けられています。エンジンからの出力は、ドライブシャフトによりメインローターとテールローターに伝達され、飛行特性を高めています。

主ローターは独自の全関節型を採用しており、高速での振動を抑えるために4枚のブレードを有しています。また、その接続機構は軽量化が図られており、必要に応じて迅速にブレードを交換できる設計です。

運用史

OH-6は1967年からベトナム戦争に投入され、偵察や支援任務を担いました。防御力が低かったため、AH-1攻撃ヘリと連携し、戦場での生存性を向上させました。戦後は、陸軍州兵および予備役への移管が進められ、バリエーションが拡充されました。

日本での運用は、川崎重工業がライセンス生産を行い、OH-6JやOH-6Dとして自衛隊に導入されました。バリエーションは、観測機や練習機として幅広く使用され、陸上自衛隊では120機以上、海上自衛隊でも一定数が配備されました。

本機はまた映画やゲームなどのメディアにも登場し、その機動性とデザインが観客の印象に残っています。特に、映画『アウトブレイク』や『ゴジラ』シリーズでは重要な役割を果たしました。OH-6は、軍用機としてだけでなく、文化的アイコンとしても位置づけられているのです。

もう一度検索