OQS-4

OQS-4 探信儀の概要

OQS-4は、日本電気が技術開発したアクティブ・ソナーであり、海上自衛隊における対潜戦能力向上のために設計されました。このソナーは、従来の低周波探信儀に代わる新しい選択肢として登場し、その設計には最新のデジタル技術が導入されています。

来歴

1980年代以降、日本の防衛戦略の見直しに伴い、対潜護衛艦（DDK）および多用途護衛艦（DDA）には従来のAN/SQS-23や66式探信儀OQS-3が採用されてきましたが、これらの機器は日本近海の海洋環境において限界がありました。特に、長距離探知ができない状況や、潜水艦の探知が不安定になる「スリップ」という現象が問題視されるようになりました。

海上幕僚監部は、昭和52年度計画の新型護衛艦の装備として、アメリカ海軍の中周波数ソナーAN/SQS-56を候補に挙げましたが、国内での技術力向上を優先し、新たに開発されるOQS-4が選ばれることとなりました。

設計

OQS-4の送受波器は、OQS-101と同じランジュバン型振動子を採用していますが、素子を独立型にすることで、故障発生時のメンテナンスが容易になるよう配慮されています。性能はAN/SQS-56に匹敵しますが、予算の制約から素子の配列数を削減したため、音響ビームの指向性においてはやや劣る点があります。

このソナーは艦底装備式で、はたかぜ型を除く護衛艦に搭載されます。さらに、52DDでは全鋼製のハル・ドームが採用されていますが、58DDに搭載されるOQS-4Aではラバー・ドーム化され、以降の護衛艦用ソナーの標準となりました。

最大の特徴はデジタル化の導入です。OQS-101に比べて大幅に拡大され、主要構成部品が半導体化されています。これにより、小型軽量化と信号処理性能の向上が実現され、探知性の向上にも寄与しています。特にFM送振に対応したことで、海自の艦艇は米海軍に先んじて初探知を果たせるようにもなりました。

搭載艦

OQS-4は以下の艦艇に搭載されています。

• - はつゆき型護衛艦（52〜57DD）
• - あさぎり型護衛艦（58〜61DD）
• - たちかぜ型護衛艦「さわかぜ」（53DDG）
• - はたかぜ型護衛艦（56/58DDG）

出典

本記事に含まれる情報は、以下の文献によるものです。

• - 香田, 洋二「国産護衛艦建造の歩み」『世界の艦船』第827号、海人社、2015年。
• - 水野, 鉄臣「OQS-XXの開発と試験艦「あすか」」『第4巻 水雷』水交会、2013年。
• - 宗清, 英昌「OQS-3ソーナーの操法」『第4巻 水雷』水交会、2013年。
• - 山崎, 眞「わが国現有護衛艦のコンバット・システム」『世界の艦船』第748号、海人社、2011年。

このように、OQS-4は日本の海上自衛隊における潜水艦対策の中心的な役割を果たし、その技術革新により安全保障の向上に貢献しています。

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