OS/390

OS/390（オーエスさんきゅうまる）は、IBMが製造・販売していたメインフレームコンピュータ向けのオペレーティングシステムです。System/370およびSystem/390シリーズで利用され、その高度な機能と安定性で、基幹システムの運用を支えました。後継となるz/OSの登場により、その役割を終えましたが、メインフレームOSの歴史において重要な位置を占めています。

概要

OS/390は、1995年後半にMVS（Multiple Virtual Storage）の後継として発表されました。MVSでオプションまたは別売であった多くのサブシステムを標準で組み込み、相互に検証を行った上でリリースするという、新しいパッケージング方式を採用しました。これにより、システム管理者はより統合された環境で、メインフレームの運用を行うことが可能となりました。

OS/390には、以下の主要なサブシステムが含まれていました。

OS本体およびジョブ管理サブシステム(JES): メインフレームの基本機能を提供し、ジョブの実行と管理を行います。
UNIX環境(UNIX System Services, USS): UNIX互換の環境を提供し、POSIX準拠のアプリケーションを実行できます。これにより、UNIXベースのツールやアプリケーションをメインフレーム上で利用することが可能になりました。
コミュニケーションサーバ: ネットワーク通信を制御し、VTAMなどのプロトコルをサポートします。
[VTAM]]: TCP/IPやTIOCをサポートし、SNA（3270）、APPC、High Performance Routing、ATM、sockets、遠隔手続き呼出し]などの機能を提供します。これにより、様々なネットワーク環境で[[メインフレームシステムが利用できるようになりました。
RACF: セキュリティとアクセス制御を担当し、不正アクセスからシステムを保護します。
TSO, ISPF, SDSF: メインフレームの対話操作環境を提供し、システムの管理と運用を支援します。

後継とサポート終了

2001年12月には、OS/390の後継となるz/OSが発表されました。z/OSは64ビットプロセッサであるzSeries（現System z）に対応し、さらなる機能強化と性能向上を実現しました。IBMはOS/390のサポートを2004年後半に終了し、ユーザーはz/OSへの移行を完了しました。これにより、OS/390はメインフレームの歴史にその名を刻み、z/OSへとそのバトンを渡しました。

関連項目

Multiple Virtual Storage (MVS): OS/390の前身となったオペレーティングシステム
z/OS: OS/390の後継となるオペレーティングシステム
* JES(Job Entry Subsystem): OS/390のジョブ管理サブシステム

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