OYQ-9

OYQ-9 Combat Direction System (CDS)

OYQ-9は、海上自衛隊のC4Iシステムにおける一つの重要な戦術情報処理装置です。この装置は、海上自衛隊のミサイル護衛艦やヘリコプター護衛艦と共に汎用護衛艦に搭載され、情報処理と戦術的意思決定を行うための基盤となっています。

来歴

海上自衛隊では、初期にはアメリカからの軍事援助に依存していましたが、汎用護衛艦に搭載されるシステムについては自国での開発を進めました。しらね型護衛艦向けに開発されたTDS-2をベースに、OYQ-5が誕生しました。この装置は、センサーからの情報を基に目標の脅威を評価し、それに基づく武器の管制を行うシステムであり、最初に搭載されたのははつゆき型護衛艦です。経時的に、あさぎり型ではOYQ-6が開発され、これによりネットワーク接続や電子戦装置との統合が進められ、その後OYQ-7に進化しました。

そして、こんごう型護衛艦では革新的なイージスシステムが導入され、これを受けた形で新世代のDDであるむらさめ型向けにOYQ-9が開発されました。このシステムは、全武器システムとのデジタル連接化を実現し、情報処理能力を大幅に向上させました。特に対潜戦機能においては、OYQ-103 ASWCSを使用してリンクされ、より高い統合性が実現されています。

構成

主な特徴の一つは、情報表示プロジェクタの導入です。これにより、イージス・ディスプレイ・システムに類似した大画面の液晶ディスプレイが2面装備され、戦術情報を効率良く表示できます。また、戦闘指揮所では、複合戦指揮官（CWC）コンセプトを導入し、情報表示コンソールを各エリアに配置し、指揮管制エリアには艦長や哨戒長などの席を設定しています。これにより、より迅速かつ正確な意思決定が可能になっています。

電子計算機についても進化が見られ、従来機では小型コンピュータが使用されていましたが、OYQ-9では新世代の大型コンピュータであるAN/UYK-43が採用され、処理能力が向上しました。その後、さらにOYQ-9B、OYQ-9C、OYQ-9Dとマイナーチェンジが行われ、最終的にはOYQ-9Dにおいて商用オフザシェルフ化が進み、システムのネットワーク化に成功しています。この改良型では、リアルタイムのミドルウェアが導入され、LANによる各システムの連携も強化されました。

搭載艦

OYQ-9は、むらさめ型およびたかなみ型護衛艦に搭載されています。具体的には、以下の艦艇がこれを採用しています。

• - むらさめ型護衛艦

- むらさめ（03DD）：OYQ-9
- いかづち（08DD）：OYQ-9B

• - たかなみ型護衛艦

- たかなみ（10DD）：OYQ-9C
- さざなみ（12DD）：OYQ-9D
- すずなみ（13DD）：OYQ-9E

OYQ-9シリーズは、海上自衛隊の戦術情報処理能力を大幅に向上させ、現代の海上戦闘において重要な役割を果たしています。これにより、艦艇はより熟練した統合作戦を可能にし、戦力を最大限に引き出すことができています。

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