Outlook Express

Outlook Express (アウトルックエクスプレス) について

Outlook Expressは、マイクロソフトがかつて提供していた電子メールとニュースグループの送受信を行うためのクライアントソフトウェアです。略称として「OE」や「OLEXP」などが用いられることがあります。

歴史

1996年、Internet Explorer 3.0に付属する電子メールソフト「Microsoft Internet Mail and News」として最初のバージョンがリリースされました。その後、Internet Explorer 4.0に付属するバージョンから「Outlook Express」に名称が変更されました。バージョン6.0を最後に更新は終了し、後継ソフトウェアとしてWindows MailやWindows Live メールが登場しました。

主な機能

Outlook Expressは、SMTP、POP3、IMAP4、NNTPといった通信プロトコルに対応しており、SSLやSecure MIMEによる暗号化通信もサポートしていました。これにより、安全なメールの送受信が可能でした。

Microsoft Outlookとの違い

Outlook ExpressとMicrosoft Outlookは名前が似ていますが、全く異なるソフトウェアです。Outlook Expressはホームユーザー向けにInternet Explorerの一部として開発されたもので、Outlookは企業ユーザー向けにMicrosoft Officeの一部として開発されました。そのため、Outlook Expressにはニュースリーダー機能がありますが、Outlookにはありません。逆に、Outlookには予定表やタスクリスト機能がありますが、Outlook Expressにはありません。これらは、開発された目的が異なるためです。

バージョン履歴

Windows版

Internet Mail & News: 1996年8月、Internet Explorer 3.0とともにリリースされました。Netscape Navigatorに対抗する形で登場し、Internet Explorerと統一された操作感が特徴でした。
Outlook Express 4: 1997年10月1日、Windows 95/NT 4.0用「Internet Explorer 4.0」に付属してリリースされました。Windows 98にも標準バンドルされました。
Outlook Express 5: 1999年3月18日、「Internet Explorer 5」に付属してリリースされました。Windows 95/98/NT3.51/NT4.0に対応しました。
Outlook Express 5.5: 2000年7月17日、「Internet Explorer 5.5」と同時にリリースされ、Windows 95/98/NT4.0/2000に対応しました。Windows Meにも標準バンドルされました。
Outlook Express 6: 2001年9月20日、Internet Explorer 6.0とともにリリースされ、Windows 98/Me/NT4.0/2000に対応しました。Windows XPにも標準バンドルされました。
Outlook Express 7: Windows Vistaの開発初期段階に付属していましたが、製品版には搭載されず、Windows Mailに置き換えられました。

Mac版

Outlook Express 4.0: 1998年9月4日、Office 98 Macintosh Editionに収録されました。
Outlook Express 4.5: 1999年1月5日、Internet Explorer 4.5とともにリリースされました。
Outlook Express 5.0.1: 2000年3月28日、Internet Explorer for Mac 5.0.1と統合されリリースされました。
Outlook Express 5.0.2: 2001年3月1日にリリースされました。
Outlook Express 5.0.3: 2001年11月9日にリリースされました。
Outlook Express 5.0.4: 2002年4月16日にリリースされました。
Outlook Express 5.0.5: 2002年7月12日にリリースされました。
Outlook Express 5.0.6: 2002年10月1日にリリースされました。Mac版の最終バージョンです。
2003年6月30日、すべてのバージョンのサポートが終了しました。

Sun Solaris/HP-UX版

1998年6月、Solarisに移植され、Internet Explorer for UNIX 4.0に付属してリリースされました。最終バージョンは「Internet Explorer 5 Service Pack 1 (SP1) for UNIX with Outlook Express」でした。

問題点

データベースの破損

Outlook Expressの受信トレイには2GBという容量制限がありました。この上限を超えると、メールを正常に受信できなくなる問題がありました。

セキュリティの問題

Windowsに標準搭載されていたため、Outlook Expressは多くのユーザーに利用されていました。この普及度の高さから、攻撃対象になりやすいという問題がありました。例えば、Antinnyのようなウイルスは、Outlook Expressのメール履歴を公開するように設定されていました。ただし、「Outlook Expressを使わなければ大丈夫」という考えは短絡的です。重要なのは、Microsoft Updateで脆弱性に速やかに対処し、ウイルス対策ソフトを用いて防御することです。