P&O

P&Oグループの歴史と展開

1. 創業と設立

P&O（Peninsular and Oriental Steam Navigation Company）は、1822年にロンドンの船舶仲立人ブロディー・マッギー・ウィルコックスとシェトランド諸島出身の船員アーサー・アンダーソンによって設立されました。彼らはイギリスとイベリア半島間の航路を運航するためのパートナーシップを結びました。1835年には、ダブリンの船主リチャード・バーンが参加し、イギリスとスペイン・ポルトガル間の定期蒸気船航路を開設しました。この航路がP&Oの前身であり、会社の旗のデザインにもその影響が見られます。

1837年には英国政府からポルトガルとスペインへの郵便運送業務の契約を獲得し、1840年にはエジプトのアレクサンドリアへの運送も開始しました。P&Oは1837年に勅許会社として設立され、これがその後の事業運営の基盤となりました。

2. 事業の拡大

1842年にはイギリス領インドへの旅客サービスを開始し、1845年にはシンガポールと香港への旅客サービスも導入しました。このようにして、P&Oは日本や中華民国を含む国々との間に航路を広げ、1860年にはヨーロッパと日本を結ぶサービスを開始しました。

第二次世界大戦まで、P&Oの利益は主に政府との郵便契約から得られていましたが、商用船や旅客船へも事業を拡大しました。1914年にはイギリス最大の海運会社ブリティッシュ・インディア・スチーム・ナビゲーション・カンパニーを買収し、戦後の1920年代半ばには、続々と他の海運会社を買収し、船舶数はピークの500隻に達しました。この間に独自の銀行も設立しましたが、後に売却しました。

3. 第二次世界大戦後の変革

第二次世界大戦後、P&Oは旧植民地への需要の減少に直面しましたが、オーストラリア路線では移民を対象とした大型客船の建造を進めました。1961年に就航したSSキャンベラなど、多くの船舶がこの路線で運航されました。1968年には移民計画が終了しましたが、P&Oは貨物輸送やクルーズ市場、RORO船市場、コンテナ船市場に進出し、事業の多様化を図りました。

1975年にはアイリッシュ海のRORO船業務を開始し、1987年にはドーヴァー海峡間のフェリーを運営する子会社を買収してP&Oヨーロピアン・フェリーを設立しました。1998年には競争委員会の指導を受けて事業を再編し、複数のフェリーサービスを提供する形にしました。

4. 事業の集中と多角化

1999年には海運・輸送事業に特化する方針を掲げ、多くの事業を売却しました。P&OポーツやP&Oコールド・ロジスティクスなどが地域市場で重要な役割を果たしました。そして2002年、クルーズ部門をカーニバル・コーポレーションに売却し、P&Oクルーズとして継続しました。

5. DPワールドによる買収

2005年、ドバイのDPワールドがP&Oを買収し、一部の港湾業務が米国資本に売却されました。この買収により、P&Oは世界的な港湾事業の展開を進めました。

6. 主な事故と影響

P&Oの歴史にはいくつかの重大な事故も含まれています。1987年にはRORO船が転覆し、193名が死亡するという悲劇がありました。さらに2002年には新造のクルーズ船が火災を起こす事件も発生しましたが、船舶はその後改修され運航されることとなりました。

終わりに

P&Oグループは、19世紀初頭から続く海運業の大手企業として、発展と変革を続けてきました。現在はカーニバル・コーポレーション傘下にあり、多様なクルーズサービスを提供し続けています。

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