P-1 (郵便機)

P-1: 日本の郵便機の歴史

P-1は中島飛行機が設計した、日本が誇る夜間郵便機です。この機械は、1933年に日本航空輸送の要請に応じて開発されました。日本航空輸送は、専用機による夜間の郵便配送を計画し、8機の夜間郵便機を発注しました。この契約を受けて中島飛行機は、九〇式二号水上偵察機三型を改造し、郵便機P-1を完成させました。

開発と改良

P-1の開発では、夜間飛行に必要な多数の装備が整えられました。大型着陸灯の取り付け、ラジオビーコン、無線電話、照明弾などの機器が搭載され、またエンジンも寿二型改からジュピター6型に換装されました。これにより、夜間での飛行性能が大幅に改善されました。このような先進的な技術が施されたP-1は、日本航空輸送の期待を受けて1933年11月、東京から大阪間での夜間郵便輸送が実施されることとなったのです。

運用の課題と終了

しかし、P-1の活躍は長くは続かなかったのです。主な問題は、単座機という設計自体が夜間の運航に適していないこと、ならびに限られた搭載量でした。さらに日中戦争が進行する中、中国大陸方面への路線が拡大した結果、燃料と乗員の不足が深刻化し、夜間郵便輸送の運航は急遽中止されることになりました。こうしてP-1の運用は短期間で終わりを迎えるのです。

機体の諸元

P-1の基本的な性能を見てみましょう。機体の全幅は10.972メートル、全長は7.66メートル、全高は3.1メートルであり、総重量は1225キログラムに達します。積載量は767キログラムに設定され、郵便物の搭載量は200から300キログラムです。最大速度は241キロメートル毎時、巡航速度は190キロメートル毎時であり、航続時間は約5時間とされています。搭載されたエンジンは中島ジュピター6型星型で、出力は420馬力です。乗員は1名で構成されます。

事故の記録

P-1は運用の中で幾つかの事故にも見舞われます。最初の事故は、1933年11月23日のことです。この日、夜間飛行訓練中のP-1が羽田飛行場で着陸を試みた際、濃霧の影響で操縦が誤り、機体が炎上する事態を招きました。操縦士は負傷するも、無事生還しました。

次に、1935年6月22日には、岐阜県竹ヶ鼻町で日本航空輸送のP-1が墜落する事故が発生します。この事故の原因はエンジントラブルと見られ、墜落により民家5戸が全焼しましたが、死者は操縦士1名に留まりました。この操縦士は、前の事故の際と同じ人物で、竹ヶ鼻町の出身でした。

P-1は、日本の航空輸送の歴史において一時的ではありましたが、重要な役割を果たした機体として記憶されています。

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