P-30 (航空機)

P-30 概要

P-30は、1930年代にアメリカ陸軍航空隊で活躍した複座戦闘機で、コンソリデーテッド社によって設計されました。当初はデトロイト・ロッキード社によってYP-24として開発されましたが、企業の倒産によりコンソリデーテッド社が引き継ぎを行い、後に複座追撃機としてPB-2の名称を持つことになります。

YP-24の開発

デトロイト・ロッキード社は、陸軍航空隊のために新たな機体を開発しました。この機体はXP-900という社内名称で1940年代に設計され、YP-24として1931年9月に初飛行を果たしました。この機体は最高速度346 km/hを記録し、複座の戦闘機にもかかわらず単座機よりも優れた速度を有するとされました。

しかし、YP-24は飛行テスト中に墜落してしまったものの、陸軍航空隊はその性能を高く評価し、戦闘機型であるY1P-24と攻撃機型YA-9の試作機を各5機発注しました。ところが、YP-24の墜落からわずか一週間後に、デトロイト・エアクラフト社が倒産し、Y1P-24とYA-9の製造計画は中止となりました。

Y1P-25とY1A-11の誕生

その後、YP-24の設計を担当したロバート・J・ウッドは、コンソリデーテッド社で新たな改良案を提示しました。陸軍航空隊は同年3月にY1P-24を改良したY1P-25を2機発注しましたが、最終的にY1P-25および攻撃型のY1A-11に変更されました。

12月に完成したこれらの機体は、主翼を全金属製にしたことで重量が増加するものの、排気タービン過給器の搭載により速度が約10％向上しました。しかし、翌年1月には両機がテスト中に空中分解し、失われてしまいました。

P-30とPB-2への改良

事故を受けて、陸軍は機体の強度を改良したP-30（後のPB-2）とA-11をそれぞれ4機試験機として発注しました。1934年1月からこれらの機体のテストが開始され、P-30は12月に正式に採用され、最終的に50機が生産されました。命名規則の変更により複座追撃機（Pursuit Biplace）としてのカテゴリが創設され、PB-2Aに改称されました。

しかし、高速での飛行中に振動が原因で後部座席の銃手が頻繁に意識を失ってしまうことが確認され、複座戦闘機としての運用の限界が見えてきたため、陸軍航空隊はその後の複座戦闘機の開発を停止する判断を下しました。

仕様と性能

YP-24

• - 乗員: 2名
• - 全幅: 13.03 m
• - 全長: 8.76 m
• - 全高: 2.49 m
• - 重量: 1,365 kg
• - 全備重量: 1,978 kg
• - 発動機: カーチス V-1570-23 液冷12気筒 600 hp
• - 最高速度: 346 km/h
• - 実用上昇限度: 8,047 m
• - 武装: 12.7mm 機銃×1、7.62mm 機銃×2 (機首・後方旋回)

Y1P-25

• - 乗員: 2名
• - 全幅: 13.36 m
• - 全長: 8.94 m
• - 重量: 1,763 kg
• - 全備重量: 2,318 kg
• - 発動機: カーチス V-1570-27 液冷12気筒 600 hp
• - 最高速度: 398 km/h

P-30A

• - 乗員: 2名
• - 全幅: 13.39 m
• - 全長: 9.14 m
• - 重量: 1,953 kg
• - 全備重量: 2,560 kg
• - 発動機: カーチス V-1570-61 液冷12気筒 700 hp
• - 最高速度: 442 km/h
• - 実用上昇限度: 8,534 m

まとめ

P-30は、アメリカ陸軍航空隊の航空戦力において重要な役割を果たした機体であり、戦闘機としての性能と複座機としての機能を併せ持つ試みの一例でした。 長い歴史の中で、様々な改良と試行錯誤を経て、最終的に数少ない使用機体として名を馳せました。

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