P-36 (航空機)

P-36 ホーク (Curtiss-Wright P-36 Hawk)

P-36ホークは、1930年代後半にアメリカ合衆国のカーチス・ライト社によって開発されたレシプロ戦闘機です。この機体は、アメリカ陸軍航空隊が初めて導入した近代的な全金属製の戦闘機の一つで、機体には片持ち式単葉の主翼や引込脚などの先進的な設計が施されています。愛称の「ホーク」は、英語で鷹を意味し、飛行機としての優れた高性能を象徴しています。実戦においては、アメリカに留まらず、ヨーロッパを含む様々な地域でも運用されました。

開発の背景と試験

1935年5月27日、カーチス社は次期追撃機の試作機として社内名称「モデル75」を提示しました。これはボーイングP-26の後継機として設計され、1934年の11月に制作が始まり、翌年の5月15日に初飛行に成功しました。当初の試作機は、ライトXR-1760エンジンを搭載し、完全に一体化した低翼単葉機として設計され、さらに不時着時の安全性を確保するための水密構造も採用されていました。

しかし、他社の試作機が準備不足で試験の期日が延長されることになり、カーチス社はその期間を利用して機体の改良を行いました。改良後のモデル75Bは、発動機をライトXR-1820-39に換装し、後方視界改善のためのキャノピーを変更して競作試験に臨みました。残念なことに、セバスキー社のSEV-7に敗れてしまいました。

その後、陸軍はモデル75Bの性能を高く評価し、試作機を追加で発注し、P-36Aとして正式採用されました。P-36Aは210機の大量発注があり、その後も能力を評価され続けました。

構造と性能

P-36Aは、全長8.68m、全幅11.35m、高さ2.84mという大きさを持ちます。動力にはP&WR1830-13エンジン（1,050馬力）を搭載し、最大速度は504km/h、航続距離は1,706kmに達します。武装は、自衛用に12.7mm機関銃1門と7.62mm機関銃1門を搭載しています。また、この機体は改良型としてP-36Cも存在し、こちらは武装が強化されており、P-36Aから派生した機体としての役割を果たしました。

海外での運用

このホーク75は、多くの国に輸出され、実戦で使用されました。フランス空軍などではH-75として導入され、武装が強化されたこの機体は、第二次世界大戦開戦時に数十機が配備されていました。優れた耐久性と上昇力により、ドイツ空軍との交戦においても一定の戦果を上げました。

戦争の進展とともに、P-36は次第に旧式化しましたが、アメリカ陸軍は依然としてハワイ上空で日本海軍機と戦闘を繰り広げていました。他国でも、オランダ領東インドやノルウェー、イギリス空軍でも使用されており、様々な戦闘に参加しました。特にビルマでは、P-36と日本軍の戦闘機との空中戦が記録されています。

改良と未来

カーチス社はP-36ホークを基にして、多くの改良型や派生機の開発を続けました。この取り組みが後のP-40戦闘機の基盤となるなど、技術の進化に貢献しました。

このように、P-36ホークはアメリカ陸軍航空隊の歴史において重要な役割を持っており、その性能、設計思想、実戦での運用は、戦闘機の進化に大きな影響を与えたのです。

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