P-39 (航空機)

P-39エアラコブラ（Bell P-39 Airacobra）

P-39エアラコブラは、アメリカのベル社が開発した戦闘機で、第二次世界大戦の初期にアメリカ陸軍航空軍により運用されました。特にレンドリースによってソ連に供給され、その活躍が評価されています。愛称の「エアラコブラ」は「空飛ぶコブラ」を意味し、日本軍では「エア・コブラ」とも呼ばれていたこともあります。さらに、イギリスへのレンドリースで受け取られなかった機体は、P-400エアラコブラとして再びアメリカ陸軍に引き取られました。

概要

P-39は、1936年にアメリカ陸軍の高高度新型迎撃機の要求に応える形で開発されました。初飛行は1939年4月6日で、機体には独自の設計が採用され、液冷式エンジンが胴体中央に配置され、37mm機関砲が機首に装備されました。この設計により、運動性や武装の安定性が向上しました。米国では初めて前輪式降着装置が採用され、キャノピーも独特なデザインとなっていました。

当初は高高度戦闘機として開発されましたが、陸軍からの指示により中高度戦闘機として量産が開始されました。この結果、仕様変更により、P-39C型の性能は低下しました。P-39は37mm機関砲と12.7mmおよび7.62mm機銃の武装を持ち、P-39D型では武装が強化されましたが、さらなる性能低下を招きました。イギリス空軍に輸出された型では性能が期待外れとされ、数が限られた運用にとどまりました。

北アフリカ戦線においては、エアラコブラはドイツアフリカ軍団に対抗するために実戦投入され、強力な37mm機関砲による対地攻撃で威力を発揮しました。ロンメル将軍がこの戦闘機の存在をしばしば報告したことからも、その影響力の大きさが伺えます。

ソ連との関係

P-39は1942年からソ連の空軍および防空軍に配備され、大きな評判を博しました。高高度性能に課題があったためイギリス軍には敬遠されましたが、東部戦線ではその弱点が問題にならず、むしろ多くのソ連エースパイロットがこの機体を使用しました。特にアレクサンドル・ポクルィシュキン大佐は、P-39で78機を撃墜した記録を持ち、他のエースパイロットの間でも多くの支持を得ていました。

P-39は約5,000機がソ連に供給され、独ソ戦において制空権確保に大きく寄与しました。総じて、P-39はソ連軍の重要な戦力となりました。

太平洋戦線での評価

アメリカ陸軍やオーストラリア軍に於いてもP-39は採用され、特にガダルカナル島やニューギニアの戦闘で日本軍と戦いました。しかし、一部の日本のエースパイロットからはその性能不足が指摘され、特に坂井三郎はP-39の撃墜に成功しています。アメリカ軍側からは性能向上が評価されましたが、高高度戦闘機としては限界があったため、後のP-38やP-47に役割を譲ることになりました。

現在の評価

P-39は、日本軍からは「カツオブシ」とも呼ばれましたが、戦闘機としての特殊な設計が印象を残しました。アメリカ海軍もその性能に注目し艦上戦闘機の試作を行いましたが、最終的には採用に至らず、P-63「キングコブラ」により後継機が開発されました。

諸元

• - 製造社: ベル社
• - 初飛行: 1939年
• - 役割: 戦闘機

P-39はその独特なデザインと戦場での活躍から、今でも多くの航空愛好家や歴史家に語り継がれています。

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