P-800 (ミサイル)

オーニクス（P-800）についての詳細

P-800「オーニクス」は、ロシア連邦が開発した超音速対艦ミサイルで、その輸出型は「ヤーホント」と呼ばれています。また、地上発射型は「バスチオン」、空対艦型はKh-61として知られています。アメリカ国防総省はこのミサイルに、SS-N-26およびSSC-5という番号を付与しましたが、これはロシアがその存在を公式に発表した後のことです。

概要

オーニクスは、これまでのロシア（ソ連）海軍の長距離および中・短距離対艦ミサイルを統合した新世代のミサイルとして登場しました。設計は、旧ソ連の長距離対艦ミサイルの開発を手掛けてきたNPOマシノストローイェニェが担当し、1985年から開発が進められました。オーニクスは、P-700「グラニート」やP-270「モスキート」といった旧ソ連の対艦ミサイルの後継モデルとして位置づけられています。

デザインと機能

オーニクスの外見は、旧ソ連で設計された長距離対艦ミサイルP-700「グラニート」を小型化した形状をしています。また推進システムは、グラニートと同様のインテグラル・ロケット・ラムジェット（IRR）を使用しています。この技術は1980年代初頭から旧ソ連海軍で使用されてきました。ミサイルには電波吸収素材（RAM）が使われ、敵に発見される可能性を低減する工夫がされています。

ミサイルは発射時、強力な固体ロケットで超音速まで加速され、その後ラムジェットエンジンに切り替えられます。この設計により、射程は飛行高度やプロファイルに応じて変化します。例えば、高度20,000メートルを時速マッハ2.5で飛行する際には、約300キロメートルの射程を持ち、逆に低空飛行のみでは約120キロメートルになります。

運用方法

オーニクスは、通常3発を1組として運用され、リーダー機がレーダーを作動させ以降のミサイルに指示を与えます。さらには、レーダー警報受信機を搭載し、必要に応じて回避行動も取ることが可能です。このミサイルの主な任務は対艦攻撃ですが、地上攻撃の能力も兼ね備えています。

各型および設置条件

オーニクスは発射コンテナに収納され、全長は8.9メートル、直径は70センチメートルです。システムチェックはコンテナの状態で行うことができ、遮炎板を必要としない設計になっています。ミサイル本体とコンテナの総重量は約3,900キロです。

オーニクスを基にしたブラモスミサイルも開発されており、進化した技術が注目されています。

運用と開発計画

水上発射型のオーニクスは、1234型小型ミサイル艦「ナカト」に改造して装備され、テストが行われました。また水中発射型はプロジェクト670M原子力潜水艦に搭載され、さまざまな実験が進められています。さらに、ロシア軍の航空機でも運用可能で、Su-27やSu-57戦闘機、Tu-22M爆撃機がこのミサイルを搭載できることが知られています。

1998年には試験が完了し、正式に採用されました。その後、近代化改修が行われており、存続する艦艇への搭載も進められています。現行の搭載艦としては、ヤーセン型原子力潜水艦やアドミラル・ゴルシコフ級フリゲートなどが挙げられます。

運用国

オーニクスはロシア連邦だけでなく、インドネシアやベトナム、シリアなどでも運用されていることが確認されています。特にロシア連邦は、重要地域にバスチオン型を配備し、戦術的優位性を確保しています。

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